I apologize! vol.05.5


久々に仙道と休みが重なった。とはいえ半日程度のことなので遠出するほどではなく、どこへ行こうかと考えあぐねていたところ。珍しく仙道が、「電車乗り継ぐけど、人がいなくて見晴らしがいいコートでも行きますか。天気いーし?」と提案してきた。いつもは二人で家にいられる貴重な時間を大事にしようよだとか何だとか。家でゴロゴロすることを提唱してくる奴とは思えない積極さ。流石にこの上天気じゃ家にいるのももったいなくなったのだろうか。理由を聞けば天邪鬼な返事をされて家に籠ることになるため、牧は頷いてボールが入った袋を取りに腰を上げた。

「ちょっと遠いかも」
傾げた仙道の長い首に電車の窓から差し込む光があたって眩しく感じた。
「いいさ、別に。急ぐ用事もない」
眩しさに眼を眇めた牧を仙道は微笑んだと勘違いしたのか、「あんたは優しいね」と呟いて柔らかく微笑んだ。

暫くそのまま電車に揺られていると、仙道が独り言のように喋りだした。
「急がないなら……行くつもりもなかったけど。ちょっと寄っていいかな。牧さんはコートにいていーから。10分もしないで戻ってくるから」
「俺も付き合う。……あ、一人の方がいいか? それなら俺は」
牧の言葉を仙道は首をゆるく振ることで遮った。
「付き合ってくれんじゃねーかなって思ったから言ってみました」
小さく舌先をぴろっと見せておどけられた。つい牧はムッとしてしまい口調を硬くした。
「廻りくどい言い方をされるのも、試されるのも好かん」
「うん、知ってる。……けど」
知っていても直接誘うにはどうかという場所だということや、どうやら楽しい場所ではないらしいことも頷いた顔に先ほどのふざけが見えないことから伝わってくる。器用そうに見える仙道だが、こういうところは年相応で牧は嫌いではなかった。
「……10分だとか、時間は気にするな。別にたまの休みの日までボール触ってなきゃ落ち着かんわけではないんだから」
あまり色々説明させるのも何かと、牧は黙って腕を組んだまま目を閉じた。
右腕に自分以外の体温。仙道が少しだけ牧へ自分の腕を寄せてきたことが感じられたけれど、気付かないふりをした。


着いた駅は小さかった。同じように、「これが駅前商店街?」と仙道につい確認してしまうほど、駅前周辺には人がいなかった。日曜だというのにシャッターも半分ほどの店が閉じている。閑散とした道を仙道に案内されるがまま何度か曲がった。車もあまり通らないため、殊更に静かだった。ただ白い日差しが周囲を無駄に明るく照らしているせいで、水彩画のような白っぽくて現実感の薄い街に見せている。
緩い勾配になっている道の先に、大きな病院のような建物が見えた。
「昔は病院だったんだって」
仙道が指差した石造りの門の看板には特別養護老人ホームとその施設の名称が書かれていた。


「俺のことももう分からないんだけどね。最近じゃ父さんのことも息子だって気付くのに時間がかかるみたい」
受付を通ってエレベーターに乗り、渡り廊下を歩いてきたけれど。すれ違うのは看護士や清掃の人がほとんどで、見舞いのような人達はまだ二組程度。ここまで来た街の様子と同じように静かで人気がなかった。薬品と消毒液の臭いに混じった複雑な……表現し難い悲しさを感じさせる濃密な空気を感じながら、牧は仙道の説明を黙って聞いていた。が、小さな売店が開いているのを目にして、牧は建物に入って初めて口を開いた。
「なにか……見舞いの菓子でも買わないのか?」
「あー、いらないんすよ。糖尿病なのに、もらった見舞いの品とか見舞客が帰ったら一人で全部食っちまって、一時期大変だったことがあって」
「お茶くらいは……」
「巡回で番茶回って来るし、俺らもそう長居しないからいーんすよ」
気にしないでとニコリと普段通りの笑顔を向けられ、牧はただ黙って頷いた。

通された部屋は六人部屋で、意外にも窓から沢山の光が降り注いで室内は白っぽく明るかった。壁やシーツが白いせいもあるだろう、来る時に通ってきた白々しいほど色彩を欠いた街と重なった。通ってきた廊下がけっこう薄暗かっただけに、眩しさにまだ目が戸惑っている。
仙道は慣れた様子で入り口で一礼すると、真ん中のベッドに寝ている老人の横へパイプ椅子を二つ並べた。一つを牧へ座ってと差し出しながら座った。牧も倣って礼をして隣へ座った。
「爺ちゃん。久しぶり。…寝てないんでしょ?」
背を向けていた老人はゆっくりと寝返り、瞼を開けた。真っ黒な瞳が仙道を見つめる。
「清輝か?」
「清輝おじさんじゃないよ。彰だよ。こっちは友達」
牧が軽く会釈をしながら初めましてと小さく、しかしはっきりと言った。白髪で細面な老人は今度は牧をじっと見てくる。何を言えばいいのか分からずいたたまれなくなるほどの凝視。何か言わないといけないのだろうかと焦りを覚えた牧は無理やり言葉を探した。
「……彰君にはいつもお世話になっております」
もう一度深く頭を下げた途端、隣の仙道がぶはっと笑った。老人は驚いたように仙道へ視線戻した。仙道は笑いながら老人に話しかける。
「爺ちゃん。この人、面白いだろ〜。俺ね、大好きなんだわ」
人の苦し紛れの一言を、面白いわけがあるか。本当なら“俺がお世話してます”くらい言いたいところだと文句が出そうになった牧だが。意味を理解しているかは分からないが老人が絶妙なタイミングでくしゃりと顔を歪めるように笑った。その笑顔はやけに牧を安心させて、ついつられて笑みが漏れた。

窓からは網戸を通してぬるい風が吹いてくる。それぞれのベッドの上に設置されているカーテンを揺らすほどの力もない風が。そんなゆるい風に紛れるように小さな声で仙道はつげた。
「連れてきた」
老人は黙って仙道を見ている。少し口をもごもごと動かしながら。
「約束……果たしたことになるんかな。爺ちゃんが言ってたのは、そういうことだったと俺は理解した、つもり」
なんだけど……と続いた言葉は、そんなゆるい風にさらわれるほどに弱々しかった。
どんな約束をしたのかは、牧は知らない。だから仙道の理解があっているとか違っているなど、牧は判断できない。
── 『そもそもその判断を下せる相手がこれでは…』
牧は言葉に出来ない思いを黙って胸に収めた。

もごもごと動く口元は何も言葉を紡ぐ様子はない。会話が成立するわけでもなかったけれど、それでも仙道の中で牧を老人に会わせたことで何らかの区切りになったのなら、いい。来て良かったと素直に牧には思えた。
膝の上にある牧の手を仙道の手が握ってきた。その手に空いていた手を乗せると、仙道の手の震えが止まった。
「清輝」
やけにハッキリとした声に仙道と牧は知らず俯いていた頭を上げた。
「圭子さんを大事にしなさい。ありがとう、圭子さん。遠い所を今日はよく来てくれた」
深々と老人は頭を下げてのち、しっかりと二人を見て頷いた。
「爺ちゃん……」
「気をつけて帰りなさい。もうじき雨が降る。傘はあるのか?」
「傘は……」
雨など全く降りそうもない上天気が見える窓へ仙道が視線を泳がせた瞬間、牧が続く言葉を発した。
「あります。大丈夫です」
「そうか」
「はい」
「また顔を見せに来なさい。清輝は面倒な奴だが根は真っ直ぐな男だ。手綱をしっかり握ってやってくれ。宜しく頼むぞ圭子さん」
「はい。お爺さんもどうぞお元気で」
大真面目で頷きあう牧と老人を、仙道は泣きそうな。それでいてどこか笑いだしそうな顔で見つめていた。


部屋を出てから仙道は入ってきた玄関とは別の方角へ歩きだした。地下にも出入り口があり、そこからだと裏手にある廃校になった学校のグラウンドへ直行できると説明しながら階段を下りる。
日蔭に入り、窓からの光もあまり届かない地下は誰ともすれ違わなかった。普段の生活ではあまり感じとることのない、複雑で濃密な淋しさの臭いが充満する、薄暗くひんやりとした廊下を歩く。誰に言われたわけでもないのに音をたてるのをためらわれ、スリッパをならさないようにすり足で進んでいると、大きな水槽の砂利がかけられていない底を彷徨う二匹のコリドラスになったような気分になる。

ふいに。牧の胸の奥を哀しさと誇らしさが同時に襲った。目頭が急速に熱を帯びる。
足を止めた牧に仙道が首を捻った。牧は顔を見られたくなくて、一歩横へずれて仙道の背中の真ん中へと顔を寄せた。手に持っていたスニーカーが仙道の脚にあたる。
「どうか、した?」
「いや……どうもしないよ」
「疲れたんじゃない?」
「……何故?」
「俺、ここ来ると毎度、妙に疲れるんだ数分しかいねーのに。なのに、今日はあんたがいるせいかな。全然疲れてないんだ。だから俺のかわりにあんたが疲れてんじゃねーかなって」
ここからはもう5分もしないでグラウンドのコートへ行けるよと続ける仙道の声が、触れ合っている場所から牧の体へ直接響く。
「…疲れた、かもしれない。でも嫌な気分じゃない」
「やっぱそーでしょ。それ、俺のをあんたが引き受けちゃったんだよ」
ごめんねと仙道が呟いた。牧は額を背へ擦りつけるように首を左右に振った。


外へ出ると眩しさに目が慣れるまで、先ほどよりも少し時間がかかった。
案内されたグラウンドだった地はだだっ広く、左に山。右に小さな廃校らしき建物。上には電線一本ない広い広い空があった。先ほどまで薄い色彩の世界とは真逆のような、色鮮やかな緑と土と空の青に圧倒される。
「ここね、疲れたら来る場所なんだ」
背後に立つ仙道の声が周囲に吸い込まれていくほど、何もない広い空間。先ほど全身を圧迫していた淀んだ重たい、臭いまで伴う沈んだ空気が全て取り除かれて全身が清々しい空気に洗い流されていくようだ。牧は知らず大きく深呼吸をしていた。肺の隅々まで清めるように。

「俺が持っている宝物を二つ、今日あんたに教えたよ。覚えてくれてもいーよ?」
「偉そうだな」
「うん。だって、誰にも教えたことねーし、これからも誰にも教えないつもりだから」
「宝物の解説はないのか?」
「そうだねぇ。じゃあ、特別中の特別ってことで、圭子さんにだけ教えてあげましょう」
「誰が圭子さんだ」
「だってあんた、否定しないで爺ちゃんと喋ってたじゃん。最近なんて爺ちゃん、人と会話なんて成り立ってなかったんだ。気が向けば一方的に喋り続けるし、気が乗らなかったら一切返事しなかったりさ。なのに、実の孫よか初めて会った牧さんにあんなにいっぱい受け答えするなんて、あのクソジジイ。やっぱ俺達には手ぇ抜いてたんだ。それか、牧さんのことをよっぽど気に入ったに違いない」

「流石、マダムキラーならぬ男キラー」と一人納得してうんうん頷きながら仙道は牧から少し離れ、風雨に晒され汚れきった、半分土中に埋められている遊具のタイヤに腰かけた。廃校になる前はこのタイヤは華やかな色が塗られ空気もしっかり入っていたのだろう。今ではもう色も禿げてゴムは弱り、仙道の体重を支え切れずにぐんにゃり曲がった。それでも仙道は器用に椅子として使っている。隣のタイヤを薦められたが、牧は苦笑いで断った。
「爺ちゃんはねー…俺の最初の理解者、かな。俺が神奈川で一人暮らしするのを応援してくれた恩もあってね。つい、断り切れず約束しちゃったんだ。だから…まだ喋る元気があるうちに、約束果たしておこうと思って。本当はもっと……その。牧さんとこう、ね。身も心も熱ぅ〜く結ばれちゃってからと思ったんだけど。それを待ってる時間もねーかなって」
ところどころふざけて言うわ、肝心の約束の部分はぼかすわで牧は片眉が自然と上がってしまった。それでも黙って先を促した。仙道としてはツッコまれて、それをはぐらかして笑い話で終わろうと思っていたのだろうが、思惑どおりにいかず、僅かに困った顔で続ける。
「ま、体は結ばれてないけども。そんなわけで連れてきちゃいました。えっと、ここはまだ爺ちゃんが入ったばっかの頃に教えてくれた場所。家族と見舞いにくるとさ、長いんだよね〜。爺ちゃんが俺に、裏行って彰は遊んで来いって毎度言ってたんだ。“こんな辛気臭い場所に若いもんが長くおらんでいい”って早々に追っ払うんだ。まるで犬猫追っ払うみてーに」
しっしと片手を邪険に振る仕草は、元気な頃の老人の真似なのだろう。顔真似もつけているが、それを見ても似ているのかどうかは牧には分からない。それでも口元は自然と笑みをつくった。
「そのせいで変な癖がついたんかもしれない。見舞った後は毎度自然とここに来ちまうんだ。そのうちさ、なんてーの? “雲隠れ、したい時には金はナシ?”って時とか、ホームが閉まった時間でも一人でここ来るよーになったんだ」
「一個もあってないぞ。正しくは“親孝行、したい時には親はなし”だ。意味すらかすってない」
牧があきれて溜息をつけば、そーだっけ?と仙道が大真面目な顔のまま空を仰いだ。
「……そのコトワザさ、親孝行をしたいと思った時には親は死んでるって意味?」
「あぁ」
「なら、俺。爺ちゃん孝行、今日したから後悔しないですむのかな」
さぁなぁ……と牧は呟いて、仙道と同じように空を仰いだ。


まだ仙道と付き合うようになって二ヶ月ほどしか経っていない。言うことやること、けっこうほとんどが分からないことだらけの男だけれど、時折分かり過ぎるくらいに思考がカッチリとシンクロする時がある。
今もそうだ。照れ隠しに悪態や誤魔化しを混ぜないと話せないほどに、今、仙道は俺に大事な手の内をそっと見せている。傷でもつけられたら立ち直れないほどにデリケートで弱い部分を曝け出している。それも、自分からすすんで。
仙道は今、さらりとした表情の下でとても怯えているはずだ。無遠慮に触られてしまうこと以上に、俺に重たいと思われて距離を取られるかもしれないと不安を隠し持っている。そう分かってしまうのは……俺とこいつが惹かれあった根本に起因しているような気がする。

深く澄んだ空気をしっかりと再び肺へと送る。静か過ぎて耳が戸惑うのにも慣れた今は、風が鳴らす様々な音が心地よく感じとれるほどに敏感になっていた。一度海の底を歩いたからこそ感じられる空気の美味さ。鈍っていたものが目を覚ますような、穏やかな覚醒の心地よさを感じる。
「次、ここへ来る予定はいつだ? また一緒に来ようぜ。俺もせめて男の孫くらいに思われたいから説明しないと」
ぴくりと仙道の肩が揺れた。
「こんな面白くもないトコ、何度も来ることないよ。爺ちゃんだって次もまた喋ってくるかなんて分かんねーし。お互い滅多にない休みくらい、楽しいことしましょーや」
「楽しくなくたっていいだろう別に。落ち着くよ俺は」
驚きの後に真意を探るような沈黙。普段は出したくもなければ、出したくても出せない怯えた子供の横顔が窺える。
「お前が神奈川へ来るのを助けた人なんだろ。なら、俺にとっても恩人だ。見舞うのは当然だろ? 俺は部外者じゃない」
お前が連れてきたのがその証拠とまでは口にするまでもないため、牧は口角を上げてみせた。まいったな……と仙道が頭をカリカリとかいた。

「今度はもっと早い時間に来よう。ここでゆっくり休んでから、次は俺が─── つまらんところへ連れて行ってやるよ」
頑なにこちらを向かなかった仙道がこちらを振り仰いだ。やっと重なった視線。
「……マジ?」
「あぁ」
はにかんだ頬笑みをみせた仙道が、ふと伏せ目がちに視線を流した。
「そこ……吾妻さんも連れてったこと、あんの?」
「何故そこで吾妻の名前が出てくる?」
聞いても仙道はいつも答えない。分かっているのにまた言ってしまい、牧は自分の返事に対して小さく溜息をついた。

時々仙道はこうしてやたらと吾妻を気にする。というより、一人で張り合っている。小学生の頃に吾妻と一緒に暮らしたことがあるのが何故それほど気になるのか。同い年の兄弟というと言葉はおかしいが吾妻とはそんなようなもので、恋人であるお前は張り合う必要など全くないと何度も説明してきているのに。
いつもならば『また吾妻か。いい加減にしろ』と続けるところだけれど。
「バスケコートどころか何もないところなんだ。そんな面白味のないところになんて、誰も案内したことなんてねーよ。そんな場所だけど、お前なら……教えてやってもいいと思ったんだが?」
「光栄っす」
やっとまっすぐに仙道は牧を見て笑ったが、その笑みはすぐに悪戯っぽいものへ変わった。
「そんな何もねーんだ。どんなとこ? 外? 建物の中?」
「え、外だけど?」
「いいねぇ。いいっすねぇ〜」
にやつく仙道の意図が分からず、牧は訝しげに眉をひそめた。
「ここは見晴らしが良過ぎてダメだけど。人目もなくて誰も来ないようだし。ぜひ、天気のいい日にしましょうね」
立ち上がった仙道が牧の腰へ意味ありげに手を回してきて漸く、牧は仙道が何を言いたいかを理解した。
「あんな所でお前の考えるようなことをしたら、即、神罰で雷でも落ちてくるぞ」
バーカと笑いながら牧は仙道の手を払って大きく伸びをした。


まだまだ、まだまだまだ。特別隠してるわけではないけれど、言わないことも見せてない手の内も沢山ある。
大事な物も場所も人も、出会う前の十数年分、あって当然。
恋人同士になったから全部を教えあわなければならないなんてのは違う気がするけれど。
教えたいと思えることが確かにある。
自分を形成するパーツの一つとして、知っておいてもらいたいものがあることを。
相手を形成するパーツを教えてもらう喜びと一緒に自覚できる。
そんな、けっこう怖くて、とても嬉しいことを。俺達はこれから少しずつ、もったいぶりながら小出しにして味わっていくのだ。大したことでもないことも、大したことであることも。両方さもさも“特別だぞ”なんて嘯きながら。それはなかなかに楽しいことじゃないだろうか。
そうこうしていくうちに年月が出会う前と出会ってからが逆転していけば、二人で共通のたわいもない秘密や思い出を増やしていくようになるのかもしれない。まだ付き合ってこれからだっていうのに何を考えているのかと、気恥かしい思いにかられもするけれど。そんなこんなも、全部ひっくるめてみるに。こいつとならば──
「……悪くないか。あ、なんだその顔は。別にお前の不埒な話の続きじゃねぇぞ」
「不埒ってそんな。はいはい、分かってますよ。俺もそう思ってたところだから」
「どうだか。……まぁ、いいけどさ」
抜けるような濃い真っ青な空をバックに、仙道は鮮やかなウィンクを一つ決めた。










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『I apologize !』の5の二ヶ月後で、6になるにはまだ暫くという感じなので5.5です。
キスやらあれこれしてるけど、まだ最後まではいたしてない二人です。むふv
これには施設の地下部分の描写の挿絵があります。興味のある方はこちらもどーぞv


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