牧
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「書いてる。〇芝の洗濯乾燥機ZABOONを参考にしてます、だって」 |
仙
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「なんかやたらいっぱいボタンある。機能多過ぎ〜」 |
牧
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「『ウルトラバブル機能』『サイクル乾燥』『自動お掃除』……
……他にもあり過ぎる。お前もあとでこのFAX読んでおけ」 |
仙
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「乾燥機能、嬉しいなー! 新しいから音もきっと静音タイプなんでしょ♪」 |
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牧
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「お。今度のはゴミ取りが二つもあるのか。底の羽も前と違う」 |
仙
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「どうして俺が乾燥機能と静音に喜んでるか聞いてくれないんすか?」 |
牧
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「どうせ俺と同じ理由だろ」 |
仙
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「ふふふ。早速今夜、夜中に使うことしちゃいましょーか」 |
牧
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「あっちの壁一面が収納棚とは圧巻だなぁ」 |
仙
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「あっ。完全スルーすか、つれね〜。でもそーいうトコも好き」 |
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牧
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「タオルをこうやって積んでると、サウナみたいだな」 |
仙
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「牧さんそれ、梅園に言わない方がいいよ。きっとホテルをイメージしてるはずだから」 |
牧
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「なんでそんなことわかる?」 |
仙
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「タオルの畳み方で。フェイスタオルとスポーツタオルなんて色まで揃えてるしさぁ」 |
牧
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「お前は妙なとこ勘がいいし、物知りだよな」 |
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牧
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「随分と天井が高い……。吹き抜けとまではいかんようだが、換気が良さそうだ」 |
仙
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「190cmになってからこんな腕伸ばしてタオル取る脱衣所なんて初めてだよ〜」 |
牧
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「真ん中の棚は俺達に合わせた高さなんだろう。脱いだ服とか着替えとか置く用かな」 |
仙
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「脱衣カゴでも……って、ますますサウナか銭湯みたくなっちまうね」(笑) |
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仙
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「見てこれ、でっけー! 海外サイズの洗濯洗剤。重て〜」 |
牧
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「でも日本製品なんだな。香りがきつくないといいが」 |
仙
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「こういうの棚にポンて置いておくのが、今流行りの『見せる収納』なの?」 |
牧
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「さあ。でも俺は扉とか引き出しとかがある方が落ち着くけど」 |
仙
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「すよね〜。物とか綺麗に並べたってホコリかぶるし。んなマメに掃除しないしさー」 |
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牧
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「アイロン台とアイロン、ピンクか……収納棚は赤……」 |
仙
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「また『ラブラブ』とかいうつもりで選んだのかなぁ、迷惑すね。
まあ、アイロンカバーくらいなら通販であるかも」 |
牧
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「見せる収納はこういう好みじゃないものを隠せないのも難点だ」 |
仙
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「アイロン道具を洗面所って湿度とかどうなんだろ。ケース入りだから平気なのかな」 |
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突然仙道は「ちょっと」と洗面所を出ていきました。
牧
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「『アルカリ電解水クリーナー』ってなんだ?
…………へえ〜、二度拭き不要とは便利そうだ」 |
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牧が柔軟剤を見ていると、仙道は戻ってくるなり意気揚々と工具をかざしました。
仙
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「ジャッジャーン! BOSCHのディスクグラインダーとハンマードリルです!」 |
牧
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「え。BOSCHってドイツのプロ用工具メーカーの? しかも新品じゃねぇか。なんでお前がそんなの持ってんだよ」 |
仙
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「実家寄ったら親父が使わないからってくれたの。これで扉や引き出し作れるんじゃねーかな。木とか切れるよね?」 |
牧
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「それなんて金属やコンクリートも切れるんだ。ハンマードリルもコンクリートや鉄鋼に打ち込めるパワーがある。
確かハンマードリルだけで6万くらいするプロ用工具だぞ」 |
仙
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「ゲ。そんなにすんの、これ」 |
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牧 |
「こんなプロ用工具、DIY初心者の俺らには猫に小判だ。俺は使える自信ないぞ」 |
仙 |
「……親父、ミーハーだからきっとTVショッピングとかで凄い性能を見て興奮して買っちまったんだろうな。
で、案の定使えなくて。でも母さんに見つかったら無駄遣いだって怒られるから、その前に俺にくれたんだ」 |
牧 |
「誰かに聞くか、使い方動画とか見て調べてからこの工具使って作ってみるか?
パワーがあるから使い方には十分注意が必要だが、使えるようになれば便利だろうよ」 |
仙 |
「そんな調べてまでとか……説明書あるよ?」 |
牧 |
「お前は説明書は極力読まない感覚派だろうが。けどな、今度ばかりは指にでも触れたら洒落ならんぞ」 |
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仙 |
「……木はホムセンでカットしてもらった方が確実だよね。そもそも俺らDIYなんて滅多にしねーし」 |
牧 |
「わかってんじゃねーか。明日にでも親父さんに返してきたらいいと思うが?」 |
仙 |
「うん……そうする〜。なにが『いいもんだからやるよ』だよ、面倒押し付けただけじゃねーか。チェ」
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牧 |
「いや、物は確かにいいんだから。親父さんにはありがたいけど使いこなせそうにないからと、
丁重に言って返したらいい」 |
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牧 |
「まあそう滅入るな。別に扉なんて急ぐわけじゃなし。今度ホムセンのぞきに行こうぜ」 |
仙 |
「……俺もあんたに何か作って喜ばせたかったのにな」 |
牧 |
「……なあ、これから風呂でも入るか。もう今までのように脱ぐ時に肘とか膝とか壁にあちこち
ぶつける心配なくていいぞ?」 |
仙 |
「この広さなら二人でも余裕で着替えられるね。牧さんに背中流してもらったら元気出るんだけどな〜」
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牧 |
「甘えるな。……と言いたいとこだが、まあ新しい洗濯機も試したいから、いいか。
俺の分の下着とパジャマも持って来てくれ。俺は風呂掃除して湯をはるから」 |
仙 |
「イエッサー!」
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大型カップルにあわせて、どんどん家が拡張してます(笑)
これからは二人で洗面脱衣所を使ってもらいましょう♪(*^v^*)
* end *
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