生まれたまま
作者:翡翠さん



ある朝、すっきり爽快に目覚めた牧は違和感を覚える。いつも一緒に寝ている同居の恋人仙道の姿が隣になく、自分はキングサイズのベッドに一人、生まれたままの姿でそれも大の字になって寝ていたのだ。喧嘩をした記憶もない。仙道の身に何かあったのでは?慌てて寝床を飛び出して彼を探すとリビングのソファーですやすや気持ち良さそうに眠っていて…安心した牧だがどうしてこんな状況になったか全く分からない。


ふと、周りを見るとあちこちに昨日着ていた服が散乱していて使って洗ったと思われる歯ブラシと歯磨き粉がダイニングテーブルに置いてある。昨夜は藤真や赤木、魚住と飲みに出かけて久々の再会についお酒が進み、かなり酔ってしまった。よく覚えていないが家にたどり着き、服を脱ぎ捨てて一人ベッドに入ったというのか?牧は恥ずかしさで頭を抱えた。


「くぁぁ…おはよ、牧さん。俺的にはOKだけど服、着ないの?」

「……はぁ…やってしまった」

「大丈夫。牧さんのお酒の失敗は俺が電車乗り過ごして遠くまで行くのに比べたらまだ可愛いもんだって。今回のは状況説明するより現場を保存しておいた方が分かりやすいかと思ってそのままにしてた。昨日は帰って来て水一杯飲んで、歯磨いて顔洗ったと思ったら通り道に服脱ぎ捨てて、裸でベッドに入って大の字になって牧さん寝ててさ。あんまり気持ち良さそうだから俺はこっちで寝たワケだよ」


仙道は牧に「可愛い!」と言って起き上がり、まだ項垂れている恋人をハグし後頭部を優しく撫でる。


「服も着てねぇし風呂入ってくる…」

「行ってらっしゃい。パン焼いて、茹で玉子とグリーンスムージー作ってコーヒー淹れておくから。」

「ああ、頼む」


少し元気を取り戻して浴室に向かう牧の後ろ姿を見送り、仙道は朝食の用意に取りかかった。






* end *




誕生日プレゼントで頂きましたv 無意識とはいえ牧の大胆な行動にびっくりです〜///☆
これもラッキースケベというのかな? ドッキリながらも微笑ましいお話をありがとうございましたv




[ back ]