個人的偵察
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作者:まつこさん | あああ ?F あ | |
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「牧さん、この先に陵南があるんですよね?偵察ですか?」 「違う、ちょっと、個人的に気になることがあってな。」 「バスケのことじゃないんですか?」 「まぁーな。」 がっかりしている清田をよそに、オレは、一人、歩き始める。 何も言わなければ、どこまでも着いてきそうな後輩を可愛く思いながらも、「また明日な」っと、強引に帰らせることにした。 海岸沿いを歩くと、ものすごい勢いで過ぎ行き交う車や、サーファーやサーフィンボードを自転車にくくりつけ行く人たちとすれ違う。 「あれ、牧さん!」 「よぅ、仙道。噂どおりみたいだな。」 しばらく歩くと、見覚えのあるツンツン頭の仙道と出逢った。 陵南高校バスケット部2年のエースだ。 肩に釣り竿を背負っているあたり、今日も部活をサボっているらしい。 「仙道にキャプテンの自覚がないと、魚住がぼやいていたぞ。」 困ったように笑う顔の仙道を、よく見たことがある。 今年の神奈川県大会、決勝リーグの時もそうだった。 涼しい顔をして、何を考えているか分からないヤツだが、内に秘めた闘志は並じゃないことだけは、知っている。 別に、キャプテンを自ら進んでやるタイプではなさそうだが、コイツには、人を引き寄せる力がある。 「海南の主将が、自ら、陵南の偵察ですか?」 「いや・・・今日は、桜木の見舞いに行ってきたついでだ。」 「・・・もしかして、流川にも会いました?」 「あぁ。よく知ってるな。」 「ここから近いですからね。オレの知ってる限りでは、いつもいるんですよね。」 「ケンカしてたけどな。」 ケガ人とは思えない桜木と、見舞いにきていたとは思えないルカワのやり取りを思い出した。 ケンカするほど嫌いなら、会いに行かなければいいのに。 ケンカするほど仲がいいってのは、よく聞くけれど、まさか、あいつらにありえるのだろうか? 同じことを考えていたのか、仙道と目が合った途端、思わず二人で、笑い合う。 「・・・で、偵察じゃない、そのついでって、何ですか?」 まさか、そんなことを追求されると思わなかったオレは、たぶん面食らっていた。 確かに、ついでとは言ったものの、なんで、ここに来たのか・・・。 決勝リーグで陵南の敗退が決定した時、もう少し、仙道のことを見てみたいと思った。 もちろん、それは、バスケのことだけれど・・・。 今日は、そうじゃない。 何故なら、自分は、仙道がよくサボっていることを知っていて、それを確かめにきたのだから。 そして、確かめて、何になると思ったのだろう?? 清田には、個人的に気になる、それでいて、バスケじゃないことと言った。 自分の言動だったとは言え、自分の行動を、不思議に思った。 何なんだ、それは!? そんなことを考えていると、オレより、もっと不思議そうな顔をしている仙道が目に入った。 「何で自分のことなのに分からないんですか?」っと聞いていくるような視線に、何故だかオレは、ドキリとした。 そして、オレに向かってにっこりと微笑む仙道を見て、何故だかという理由が、生憎、分かったような気がした。 「・・・もう、用は済んだところだ。」 オレは、仙道に逢いに来たのだ・・・。 仙道は、やっぱり不思議そうな顔をしていたが、まさか自分が、そのついでになっているとは気付いてないようだった。 「張り合いがない冬の選抜にはしてくれるなよっ!」 仙道の横を通り過ぎる時に、言ってやった。 すると、通り過ぎた後ろから、仙道の声が聞こえてきた。 「あはは。次に勝つのは、オレたちですから。」 振り返ると、逆光でよく見えなかったが、自信に満ちた仙道の顔が、うっすらと見えた。 キャプテンのクセに、暢気に釣りなんかしているクセに、陵南のキャプテンが、これでいいのか? 呆れながらも、たぶん、コイツのことだから満更その気がないわけでもなさそうだ、と感じるのは、オレの仙道への贔屓目だろうか?? 「ほう・・・そこまで言うなら、今度は仙道の偵察に来るからな・・・。」 オレは、オレにとって、都合のいいような勝手な約束を取り決めることにした。 冗談でも、本気でも取れるような、約束に効力があるのか分からないが・・・。 「個人的なら、いつでも、どうぞ。」 そう言いながら、仙道は、眉毛と目をいっぱいに下げて、笑っていた。 さっきから、顔が熱いのは、このアスファルトの照り返しのせいなのか? ジリジリと焼き付けくれるのが、めずらしくありがたかった・・・。 「アイツ、本当に侮れん・・・。」 まるで自分の心の中を、軽く見過ごしてきたかのようで驚いたが、何より、オレが満更じゃないのが、一番むずがゆかった。 おわり。
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可愛い少年らしさいっぽいな牧に大喜びしちゃいましたv 全員とても高校生らしいです♪
花流もこっそり隠れていて、それもまた楽しいv ピュアな二人をありがとうございました!! |