May I help you?
作者:リツさん



オレの牧さんは外でも家でも帝王。
外では当然のことだけれど、家の中でもオレがばっちり控えているからだ。
朝はご飯の支度をしてからブルマンとオレのキスで・・・ってこれはこないだ言ったよね。
食事の支度は当然のごとくオレなんだけど、洗濯物もオレの仕事。
毎日洗濯機の中で牧さんとオレの下着が絡まっているのを見て楽しみ、干すときだって全部隣り合わせに干している。
そして乾いた洗濯物を取り込んで、たたんで、クロゼットに収めるところまでオレはやってしまう。
え?過保護じゃないかって?
それはそうかもしれないけれど、これには嬉しいオマケがついているからやめられない。
というのもオレがしまった牧さんの洋服を、牧さん本人が見つけることができないからなんだ。

今日も朝のシャワーを終えた牧さんがクロゼットの前からオレを呼ぶ。
「おーい、仙道!俺のラルフローレンの黒のポロシャツはどこかな?」
「今行きまーす!」
ソーセージを炒めていたレンジの火を消して、緩みそうになる頬をぱちんと叩いて寝室のドアを開けると、予定通り牧さんが下着一枚のままクロゼットの前で首を傾げて立っている。
下着はモチロン黒のビキニ。オレの見立てだ。
これを着て立つその姿はまるで太陽神アポロンのよう。
それでいて、困って首を傾げている様子が憂いを含んでいるようで最高に美しい。褐色の肌に、綺麗に割れた腹筋。
これは男の美学だ。
「おい、見てないで探してくれないか?今日はちょっと急ぐんだ」
「はいはい♪」
目じりがこれ以上下がらないように気をつけながら牧さんの横にたつと、洗い立てのその肌から牧さんの匂いが立ち上ってきて、オレはもうくらくらしてしまう。急いでるっていってたけど、15分くらいですませば許してもらえるだろうか?
そんなヨコシマなことを考えていたら
「・・・仙道・・・?」
牧さんの上ずったような声がして、手がオレの頬に添えられる。
「・・・牧さん・・・」
以心伝心、牧さんもその気になったんだろうか?その目がゆるゆると不安そうに揺れている。
「牧さん・・・!」
その唇に触れようと顔を突き出した瞬間、
むず
とオレの顔にティッシュが押し付けられた。
「鼻血を拭け、仙道。垂れそうになってるのに、気づかないのか?」
「あ〜・・・・・・」
なんだ、そーゆーことですか。
牧さんがしゅっしゅとティッシュを抜き取ってくれるけど、できれば違うことで使いたかったな、このティッシュ。
鼻を押さえながら見ていると、ポロシャツもジーンズも身につけてしまった牧さんがゆっくりと振り向いて心配そうに言った。
「仙道、おまえ最近よく鼻血出すな・・・一度病院行った方がいいんじゃないのか?」
心配してくれるのは嬉しいけど、これは牧さんのせいなんですってば。牧さんがそんなにフェロモン撒き散らすから・・・
オレがにやけていたのか、オレの心の中が読めたのか、牧さんはふいに眉をしかめると、
「少しは気を引き締めろ」
そう言って寝室を出て行ってしまった。
そうすると現金にも鼻血はすぐ止まってしまう。

でも牧さんは服を着たってかっこいいんだ。着てるものがシンプルなほど、いい男っていうのは引き立つ。
玄関先で出かける牧さんを見送ると、牧さんは照れ臭そうに振り向いた。
「・・・そんな目をして見るんじゃない」
「え、どうしてですか?」
「・・・恥ずかしいじゃないか・・・」
そういうところが、またたまらなく可愛いんですってば。
それがまた顔に出たのか、牧さんは大きな溜息をついて出かけていった。
「いってらっしゃ〜い!」
帰ってきたら、またオレがサービスしてあげるからね♪




−おしまい−





牧にメロメロな仙道が戻ってきてくれましたよ♪シリーズ化みたいで嬉しい〜v
黒ビキニ一枚で困った顔で立ってる牧!!…梅園まで鼻血が(汗) ラブリーな二人をありがとうございましたv

 


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