wants your smile


磨かれた床が続く長い廊下。ライトが点々と丸く映っている。見慣れたいつもの病院内の静かな空間を、牧は靴音を抑えるように静かにゆっくりと歩いていた。仕事がやっと一段落したが、まだ仕事着を脱いで自分の車に乗るまではどこか気が抜けない。
医師としての表情を保ったまま関係者専門玄関を目指していると、ふと見慣れた背中を見つけた。病院の寝間着の襟元、左肩からギプスが覗いている。二日前入院してきた仙道だった。

左へ曲がればもうすぐ関係者用玄関に行ける。疲れているから早く帰宅しようと頭は思っているのに、足は仙道を追うように右の廊下へ向いていた。
仙道は寝間着では隠れきらない長い脛をにょっきり出したまま、どこへいくつもりなのかのんびり歩いていた。もう少し大きいサイズがあったはずなのに…。なんだか哀れに見えた。手術も終わったのだから、自分のパジャマを持ち込んでも…と思った時、牧の目が曇った。一度回診を代わってもらって仙道のところに行った時は、布団の中に足が入っていて気付かなかったのだ。自分が気付いてやらなければ、他に誰があいつのパジャマなど用意するというのか…。
10メートルほど先にある後ろ姿をぼんやり目で追いながら牧は仙道が救急車で運ばれてきた日のことを思い出していた。



白熱した試合中、折り重なるように三人の選手が倒れ込んだらしい。ちょうど真ん中に挟められた形で倒れた仙道の左肩は、ゴールポストに当たって、その上から変な角度で重圧がかかり…鎖骨がはずれて…。薄皮一枚が骨が飛び出るのを堪えているような状態だった。
当直明けで帰ろうとしていた矢先に電話で知らされた牧は、救急車が来るまでの時間、爪を掌に食い込ませるほど強く握り締めて救急車専用入り口の傍で待機していた。

救急車が到着してストレッチャーから運ばれてきた仙道は青い顔ではあったが、すぐに牧を見つけて笑顔をむけた。
『脳震盪だったらしくて、気付いたら救急車で運ばれてたんです。…これぐらいで恥ずかしいなぁ。自力で病院行けるのにさ』
脂汗を額に浮かべながら強がる仙道に、牧はその時なんと言ったのか覚えていない。表面上は冷静を装っていたつもりだったが、こうして思い返して自分の言動を思い出せないのは、やはり恐ろしく動転していたためであろう。
その後、今日の担当医にあたる西原が「…藤真から聞いている。親戚なんだってな。まかせろよ。きっちりいい仕事してやるから」と早口で言い、牧の肩を叩いてから足早に去っていったことは覚えていた。

様々な症例を見、数々の執刀をしてきた自分が、恥ずかしながら仙道の状態をみて動転した。よく「救急で身内の者を執刀するのはよくない場合もある」と聞くが、その通りかもしれない。もし仙道がもっともっと大きな事故で運ばれてきて、その日の担当医が俺だったら…。
その時の自分は、正直なことを言えばやりたさ半分、やりたくなさ半分といった気持ちだった。今ならば俺の手で治してやりたいと思う気持ちが勝っているというのに…。



いつの間にか考え込んでいた牧は、夏の夜独特の空気の香りで我に返り、知らず俯いていた顔を上げた。仙道が夜間外来入り口から出るところだった。
見失わないように少し歩を早める。外に出て周囲を見渡すと、関係者用駐車場に向かって仙道が歩いていた。
「仙道、どこに行くんだ?」
仙道に聞こえる程度の声をかけながら、牧は小走りに傍に行った。仙道は驚いた顔をして振り向いた。
「やぁ、丁度良かったです。牧さんそろそろ仕事終わる頃かなと思って。駐車場で待っていたらすれ違うこともないでしょ。病院は玄関いっぱいあるから、牧さんどっから出てくるか分かんねーし」
少し照れた笑顔と白いギプスが街路灯に照らされて、牧は少し胸の辺りがざわついたが、悟られないように気をつけた。
「…見舞いらしい見舞い…俺ができないから、用事とかあっても直接伝えられなくて不便だろ。役立たずで…すまない…」
『家族である個人の見舞い』なのだと全ての患者に言うわけにもいかない。仙道の部屋は6人部屋でもあるから、なおさら行きづらい。院内では個人の前に医師である牧は、通りすがりに目で仙道を探すくらいしかできない自分の悲しさを覚えていた。
だからつい、やっと個人として話せる機会がきて、いきなりこんな謝罪の言葉が口をついて出てしまった。

目があったときは嬉しそうな顔を浮かべたのもつかの間、自分の言葉で傷ついたのか、牧のうなだれた様子に仙道は慌てた。
「えぇ? んなこたないですって。俺、何も不自由なんてしないし。大した怪我でもないし。ただ、なんかさ…廊下で昼間牧さんを見かけたとき、元気なかったから…」
ちょっと心配になって。大丈夫かなって…などと右手を胸の前で小さく左右に振りながら口早に述べた。その様子に牧も顔を上げる。
「怪我人のお前に心配されるようなことは何もない。それより、どうだ?具合は?何か不足している物でもあるか?」
小さく微笑んだ牧の顔と白衣の肩に街路灯の白い光が静かに落ちている。
─── この人は自分が今、どれほど淋しそうな顔で笑ったのか気付いていないのだろうか。
今、俺の両腕が動いたら、息もできないほど抱きしめてやるのに。歯がゆさが仙道の瞳を曇らせる。
仙道は動く右腕を牧の背中に回して、牧の肩に顔を埋めた。
「怪我は問題ないです。それより…凄く不足しているものがあるんです。俺にくれませんか?」
「何だ?何でも言え。急ぎなら今日届けてやる」
牧の両手が優しく仙道の背にそっと回される。
「…あんたが、不足してるんです。しっかりとした笑顔を作れる牧さんを、今すぐ俺に下さい」
「な…んだよ、それ。俺は別にいつもと変わら」
最後の言葉は顔を上げた仙道の真剣な瞳に止められてしまった。その瞳の厳しさが美しかった。


遠くに人の足音を聞き、二人は離れた。牧は車のキーを握り締め自分の車に足を向けると、背を向けたまま言った。
「…来い。就寝時間までには帰すから」


病院の裏手。駐車場の街路灯の光も建物にさえぎられて届かない場所に牧は車をとめた。エンジンを切り、静けさが満ちる。
後部座席に座らされていた仙道が静けさに耐え切れずに牧を呼んだ。
「こっちに来て下さい。…俺をしっかり抱いてよ、壊れモン扱うみたいなんじゃなく。んで、俺にあんたをしっかり抱かせてよ」
ハンドルをゆっくり手放して小さく息を吐き座席を少し前にずらした。牧は無言で車を降りて後部座席のドアを開けて見下ろしている。
暗闇を背にした牧の細かな表情は仙道には見えない。けれど、今牧がどんな顔をしているか仙道には解っていた。
少しした後、牧は静かにドアを閉めると、仙道の左上半身に触れないように細心の注意をはらいながら仙道の体に腕を回してきた。
「ごめんね。嫌な思いさせちゃいましたね。俺は大丈夫だから。心配いらないよ…」
できる限り優しい声で囁く。込められるだけの力を右腕に込めて牧を胸に抱き寄せた。牧の体が傷を気遣って少しこわばったが、それすらかまわず仙道は自分の体を牧に傾け預けた。

「さぁ、キスして。俺はもう二週間以上あんたの唇に触れていないんです。不足し過ぎて治るもんも治んないよ」
くすりと牧が笑う気配がした。体を離し、仙道の足の間に牧は体を移動させる。体が二人とも大きい分、いくら3ナンバーとはいえ狭くて動きづらい。その上仙道の傷に触らないよう慎重に動くため、牧の動きは遅かった。
その動きがじれったくて、仙道は助手席のヘッド部分を掴んでいた牧の右腕を乱暴にはらった。支えを失った牧の上体が仙道の上にどさりとかぶさる。瞬間痛みが走ったため、仙道の眉がきつく寄せられたが、それもすぐ隠された。
「バカ!!大丈夫かっ!?」
牧は青くなり慌てて体を離そうとしたが、後頭部を仙道の右手に押さえつけられ、そのまま唇を奪われる。

甘く長い口付けからようやく解放されて、牧はあきらめたように静かに仙道の右肩に顎をのせた。
「…ごめんな。情けない奴で」
小さく恥ずかしそうに呟いた台詞には、沢山の思いが込められていた。
仙道が運ばれてきた時に冷静な自分でいられなかったこと。担当ではなかったとはいえ、自分が執刀してやれなかったこと。経過を自分が直接診てやれないこと。傍に付き添っていてやれないこと。たった二日だというのに、仙道に関すること全てが牧を打ちのめしていた。
医者なのだから普通のパートナーよりもしてやれることは多いはずだとずっと思っていたのに、全てが当てが外れてしまったようで情けなかった。

そんな牧の様子が仙道の心臓をズキュンと音をたてて直撃した。ちょっと弱っている牧というのは滅多に拝めないため、仙道にとっては恐ろしいほど魅力的に感じてしまうのだ。
「内緒にしとけと言われていたんだけど…言っちゃう。藤真さんがね、術後様子を見に来てくれたとき教えてくれたんだ」
仙道は目を細めて嬉しそうに照れながら話し出した。



藤真は医師ではないが牧とは違うタイプの白衣を見にまとい、爽やかな笑顔で六人部屋の左窓側にある仙道のベッドへと片手を軽くあげてやってきた。
牧と藤真は高校時代、バスケでのライバルであったが、偶然にも互いに医療への道を歩いており、ここ『神奈川SGH(Sport general hospital)』に同時期にやってきたのだ。もちろん大学はお互い別であり、連絡もとってはいなかったが、会ってすぐ仕事の息が合う仲間となったらしい。
再会したいきさつなどを以前牧に説明されていた仙道は、いきなり現れた藤真に驚く事もなく「お久しぶりです」と笑顔を返した。

互いの近況報告などを軽く交わした後、ふいに藤真は思い出したように楽しげに言った。
『俺ですら驚くほどヤバイ状態の患者が入ってきたときも、チームの現場ミスがあやうく患者への対応に響きそうになったときも。どんなときでも冷静だった牧が、あんなに白い顔になったのなんて初めて見たよ。あの黒い男が白くなるなんて、すごく見物だった。貴重なものを見せてくれてどうもな…。って、ある意味お礼も言えるけどな」
急に今までの爽やかな笑顔をひっこめ、別人のように厳しい目をして睨みつけてくると、仙道の耳元にドスをきかせた声をねじ込んできた。
『あんまり簡単に怪我して運ばれてくるんじゃねぇ。あいつにあんな顔させちまうのはな、お前だけなんだ。そこんとこ自覚して、ちったぁ反省しやがれ』
反省したらさっさと治すよう、リハビリにせっせと通えとも付け加えた。仙道は驚きと恐怖でコクコクと頷くしかなかった。
椅子を片付け病室を出ようとした藤真は、急にくるりと踵を返して仙道のところに戻ってきていつもの気さくな口調で言った。
『俺は牧に薬を作る暇なんてないからな。時間作ってさっさとお前が治してやれよ』
仙道が黙って真剣な表情で頷いたのを見て、藤真は満足げに今度は本当に病室を去って行った。
『まぁ、どうしてもってんなら、天才薬剤師の俺様がトリカブトもびっくりな素晴らしい薬を調合して出してやるけどな』
と、背をむけたままひらひらと右手を上げつつ恐ろしい捨て台詞を残して。



藤真らしい二人への気遣いの言葉を教えられ、牧は顔がほてってくるやら青ざめてくるやらな複雑な心境だった。
「…いい人ですよね、藤真さんって。口は悪いけどさ」
「……一応…そうだとは思っている」
日頃職場で何かとからかわれている(藤真にとっては愛情表現なのだが牧はそうはとっていないらしい)ため、素直に仙道のように笑って言えない牧。その渋面が仙道にはなんだかとても可愛く思えた。甘いキャンディーを舐めるように仙道は牧の頬をゆっくりと舐め上げる。
「藤真さんが今日の牧さんの退社時刻…っての?仕事終わる予定時刻教えてくれたから会えたんすよ。…せっかくの厚意に報いませんか?」
暗がりでもようやく目が慣れた二人の視線が重なる。
「…厚意を無にされたら黙っていない奴だからな」

ようやく笑顔を浮かべた牧は自分からゆっくりと唇を重ねるべく近づいてきたが、触れる前にすぐ体を離した。仙道がいぶかしげに見上げると、暗がりに牧が困ったように眉をひそめつつ頬を少し染めているのに気付いた。
「? どーかしましたか?」
「……お前…その……こんな狭いとこでする気なのか?」
「な、なんで?」
「……当たってる…」
牧が落とした視線の先を追うと、牧の太腿に仙道の中心があった。仙道は牧の足が自分の中心に寄ってきたのだと思っていたが…逆だったのだ。
今日は牧さんを元気にさせるだけのつもりだった。片腕が使えないため満足させる自信もなかったから、セックスまではと思っていたのに。約三週間ぶりに触れ合えた牧の唇や体に、下半身は正直だった。…恥ずかしいやら情けないやら。

どう言っても下心があったとしかとってもらえない自分の状況に焦っていた仙道の右肩に、牧は額をくっつけると黙って仙道の寝間着の下をゆっくりずり下げて手で触れてきた。
信じられない展開に仙道の方が今度は困ったように頬を染めて訊いた。
「こんな場所だし…えと…嫌なら無理しないでいいよ。放っておいたらそのうち治まるから。白衣、汚れちゃうよ?」
昔、ドライブの途中、誰もいない湖の横に車を止めた時に仙道が牧に手を出そうとしたことがあった。その時言われた苦い台詞と冷たい視線が瞬間脳裏に甦り、仙道としては二の舞いは嫌だと珍しく慎重になったのだ。
しかし牧はその手を止めず、目線を合わせないまま言った。
「…いいんだ。どうせ中のシャツの汚れがついてるだろうし。替えも沢山あるから」
牧は上体を少しそらせて白衣の前を開いて見せた。下に着ていた半袖のワイシャツには何か薬品でできたらしい大きな染みが広がっていた。そのまま白衣を脱ごうと袖をひいた牧を仙道が止めた。降って湧いたようなこのチャンス。どうせなら…。
「汚していいなら、そのままで…。なんか、いつもと違う牧さんみたいでそそるんだもん。このまま、しよ?」

エンジンを切った車内は、当然クーラーもきいていない。熱気で窓が曇るのでは…などと思えるほど熱い吐息と汗が二人を包んでいる。月明かりが牧の白衣をぼんやりと青白く光らせるのを眺めながら、仙道は牧の中心を右手だけで器用に煽りながら言った。
「AVで看護師とやるのってよくあるけど、俺は興味なかったんす。でもね、こんな色っぽいセンセイとってのは…いいね。たまんないよ」
「…変態」
「そんな変態なトコも…っ……好…きでしょ、ホントは」
牧は仙道の右手を軽く払うと、二つの熱を重ね合わせて両手で包みながら、荒い息を一つ吐いて妖艶な笑みを唇に浮かべた。




白衣を脱ぎ、牧はタオルがわりに二人分の汗などを拭いた。それを無造作に丸めて小脇に抱えると、だるそうに運転席に戻った。クーラーを最強に入れて、ついでに窓も開けて空気を入れ替える。新鮮な空気に仙道も人心地ついたのか、のほほんと声をかけてきた。
「心も体も潤いましたけど…咽は、渇きましたねぇ」
バックミラーに、まだ少し紅潮した頬でへらへらと笑った顔が映る。牧はバックミラーで自分の表情を見られるのを避け、体を窓側に倒して珍しく長々と悪態をついた。
「くそ〜…。つい状況に流された。狭い・暑い・咽が渇く・落ち着けない…おまけに後で運転しなきゃならん。だから俺は車でするのは嫌なんだ」
ブフッと仙道は吹きだすと、牧がどんな顔で言ってるのか見たくなり、運転席の方に身を乗り出し覗き込む。
「…ずいぶんと嫌そうなこと言ってる割には、かなり良かった顔し…あだぁ!!」
最後まで言わせてもらえないまま、仙道は顔面に飛んできた牧の裏拳を避けきれずに、後部座席のシートへ撃沈した。
その様子にザマーミロと言いたげな視線を一つ投げ(仙道が左肩から着地したのではないことはもちろん確認済み)、牧はシートに座りなおすとハンドルを握りながら笑った。
「どうだ?狭い場所ってのは逃げ場もなくて嫌なもんだろ?」



雲ひとつない青空。磨かれた廊下に惜しげもなく降り注ぐ朝の光。牧は眩しそうに瞳を細めながら長い廊下をいつものように歩いていた。
左手の『関係者以外立ち入り禁止』とプレートが貼られた扉が開かれ細身の見慣れた、そこらの芸能人じゃ太刀打ちできないほど整った美貌の持ち主が現れた。

「よう、牧。なんで朝っぱらから渋い面してんだよ。ただでさえ怖い面してんだから、しかめてっと患者が怯えるぞ。お前の面ってホント、朝日が似合わないよなー、顔の色にあわせて夜に合う面な作りになってんのな」
などと、返事を返してこない牧にケラケラと笑いゆっくり近寄ってくる。

朝日を浴び、顔に似合った爽やかな声で毒舌をスパッと投げつけてくる藤真に、牧は今日こいつにだけは会いたくなかったという表情を隠せなかった。
「おい、無視かよ。なにか俺に言いたいことあるだろが。ん?言えないなら俺が」
慌てて牧が藤真の口を止めるべく返す。
「世話んなった。頼んじゃいないが、とりあえず認めよう。だから、今日は奢ってやる。B定食でいいな?」
藤真はニヤニヤと笑いながら肩を軽くすくめてみせた。
「二人前な。それと、俺の分にはスープとしてラーメンもつけろ」
「…お前、そんなに食うのか?定食二人前にラーメン…」
「バーカ。もう一人分は、花形のだ。俺、あいつに先日借りつくっちまったからさ。今日は三人で昼飯食おうぜ」
「なんで俺がお前が作った借りまで払わなくてはいけないんだ」
並んで歩いていた藤真の足がピタリと止まった。ハッとして牧が振り向く。
「…消灯前、306号室の患者が抜け出して、あろうことか駐車場で当医院の外科医としっかと…」
「うわっ!!バカッ、やめろ藤真!!分かった、分かったから!!二人前だろうが、三人前だろうが出すからっ」

男にしては可愛い小さい顔でご機嫌な笑顔を作り牧に残すと、そのまま藤真はスタスタと先を行き左に曲がって姿を消した。
明るい日差しを半身に浴びながら立ちすくむ牧の脳裏に『いい人ですよね、藤真さんって』という昨夜の仙道の台詞が甦った。牧は苦々しい表情を隠すこともせず『こいつがいい人なら、世界の半分はいい人決定だぞ!!仙道、お前は騙されているんだ…』と胸中で叫んだ。


今日は仙道が退院する日。爽やかな晴れ空はまるで、それを一緒に喜んでいるように見えた。
小さな声で、誰にも聞かれないようにボソリと牧は晴天を仰ぎながら呟いた。
「あー…。俺も一緒に退院したい…かも」





*end*




「白衣でHが読みたいですv」というリクエストに応えてみました。今回のHはまさにMSM(笑)
藤真初登場〜。それにしても病院名のセンスのなさに自分がイヤンになりましたわ。トホホ☆

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