七海さんの18禁小説『Memories in the zephy ◆忌むべき習癖、衝撃の不従順!』の18禁挿絵を梅園が描き、
その小説の後日譚小説『gonna get mad at me?』を志毛さんが書かれて、こちらの挿絵も梅園が描きました。
綺麗なトライアングルコラボが完成して、私は大いに浮かれております♪
※七海さんの小説は江夏七海さんのサイト「秋華会」や梅園の裏サイトで。
志毛さんの小説は志毛さんのサイト「halu_dbl」でも読めますよ。
七海さんの小説はもちろんひとつでも十分素敵な作品だけど、挿絵や後日譚を
別の人がオプション(志毛さんが書かれた後日譚小説だなんて超豪華v)をプラスしていって、
更にとても楽しく読み応えが増しておりますv ぜひ皆さん、七海さんの小説を読んでから、
こちらの志毛さんの後日譚小説をお楽しみ下さいなv 通しで読むと楽しさ倍増間違いなしです♪
18歳以下のお嬢さんは志毛さんの小説のみお楽しみ下さいな。単話でも十分楽しめますよv
(設定は仙牧・流三の仲良しCPが同じ大学でバスケ部所属と踏まえておけばOK)
(挿絵をクリックすると日差しが柔らかい色味バージョンが見れます)
☆…………☆…………☆…………☆…………☆…………☆
gonna get mad at me?
|
||||||||||
|
小説:志毛さん イラスト:梅園悠花 |
|
||||||||
|
||||||||||
講義室を出て、見るともなしに目に入った正面の廊下の窓から見えた景色が、つい先日鼻に馴染んだ匂いの記憶と結びついた。 そういえば、この講義室のある棟は大学の建物の一番端で、道路を隔てて隣接するグラウンドに一番近い。 思いついて、仙道は今いる建物内でも一番端の部屋に足を向けた。鍵のかかっていないドアを押しつつ中を覗くと、講義の終わったばかりの黒板にはまだ何やらの数式が書かれたままだったが、学生は既に出払っていて、お誂え向きに誰もいない。 窓際に行くと、眼下に目当ての建築物の屋根が午後の柔らかな光を反射して眩しかった。思わず顔が綻ばせて、跳ね上げ式の座面を倒して腰を降ろした。机に立てた肘で顔を支えて、しばらく後には腕を伏せて顔を乗せ、その景色を眺め続けていたが、これから昼食に入ろうとする時間帯では、粘っていても期待する光景は眺められないのかもしれなかった。 暖かい日差しは仙道の座る窓際にも燦燦と降り注ぐ。ウトウトと瞼が落ちそうになったところで、ドアが開かれる音が聞こえた。午後の講義が始まる時間にはまだまだ早いから、いずれ昼寝か弁当か、自分と同類の暇つぶしだろう、と動かずにいると、真っ直ぐに足音が自分へと向かってくる。 「よぉ」 真上から降ってきた声に顔を向けると、部の一学年上の先輩が立っていた。挨拶しようとしても眠気で頭に靄がかかったように口が回らない。 「こんなとこで昼寝かよ」 「はい、まあ…」 三井は半目の閉じた仙道に笑いを一つ落として、当然のように仙道の座る椅子から一つ置いた席の座面を、手を使わずに腰で音を立てて降ろして座り、持っていた白いビニール袋を乱暴に机に置いた。 「三井さんは食事…? ですね」 ガサガサとビニール袋から弁当とペットボトルを取り出し、割り箸を咥えて 「おう」と籠った声を返し、パッキリと割る。 「この後ここで講義だからな。おまえは昼は?」 「俺はまだ」 「あー授業中からぶっ通しでお昼寝?」 ではなかったが、寝惚けた頭では訂正も面倒で、曖昧に微笑んで見せる。このままここにいても目当ての景色は見られそうにないし、見られたとしても隣にこの賑やかな先輩がいてはゆっくりもしていられそうにない。自分も飯でも食いに行くか、と仙道はのろのろ肘を起こした。 「牧がさー」 「はい?」 弁当を頬張った口から出た名前に、立ち上がろうとした動きが止まる。 「牧」 三井は聞こえなかったのか?というように、口に入った物を食べくだしてからもう一度言い直し、仙道を見た。 「はい」 「昨日おかしかったじゃん」 「おかし…い?」 おかしかったか?と彼の人の姿を反芻する。 いや。特におかしいところも変わったところもなかった。いつも通り練習が終わって家に帰れば美味い飯が用意されていて、いつも通りの笑顔でいつも通りの時々つれない、時々厳しい態度の、やっぱりかわいい人だった。 「具合悪かったんかなーと思って」 「いやぁ…? そんなことない…と思いますケド」 「そ? あー練習中は普通? や、そうでもないか。牧にしちゃーなんてーか…こう精彩を欠く?っつーか」 「そうかな…そう…でした?」 精彩。欠いてたかなぁ、と思い出そうとしてみるが、そういえば昨日はポジション別のメニューが多く、練習中の姿を思い浮かべることができなかった。家でも具合を悪そうにしていた様子もなかった。と思う。 三井もポジションが違うのに牧のことをよく見ているようで、多少つまらなくなって、それでも人の目についた、自分では気づけなかった牧の不調が気になった。 「で、ロッカー戻ったら腰に手ぇやってるから、どうした?って聞いてもなんでもねーって言うし。まぁ、おまえが大丈夫ってんなら大丈夫なんだろうけど」 そこまで聞いて、目の端にようやく窓の向こうに出てきた目当てのものが映って、それに一昨日体験した忘れ得ないあることが結びついて、瞬時にクリアになった頭で、仙道は、「あ」、と声を出していた。 「なに?」 「いや…なんでもねーっす」 学生には見えない、厩舎の人間に引かれて出てきた馬達の毛並みが、午後の柔らかい日差しを浴びて光る。そんな美しい光景が、見たかった姿が、やけに生々しい情景に取って代わられて、そちらの場違いな映像がじわじわと仙道の頭を侵食し始めた。 「じゃあ明日の練習も出て来れるな。そうだ、おまえこの次の講義とってんの?」 「え? あ?」 いきなり変わったらしい話題についていけなくて頭が混乱する。窓の外で馬たちは優雅に散歩をしている。頭の中で微笑んでいた牧が、いきなり辛そうな顔をして仙道を睨む。辛そうな顔なのに吐く息までどこか色っぽく扇情的だ。 「授業ー。民俗学。とってねーの? 単位稼ぎたいならオススメだぜ? 代返チェック緩いしテストはノートがありゃなんとかなるし。取るんならノート譲るぜ?」 「…あ? そうなんですか? え、ノート?」 「あ、おまえにゃもっといいノート提供者がいるか」 目の前の三井の話に集中しようとすると、頭の中の牧が大きくなってくる。その牧に睨まれれば睨まれるほど、一昨日の記憶が蘇ってきて、あらぬ箇所に血が集まり始める。わかっている。牧はこんな表情を晒して自分を誘わない。その状況にならない限り。全部自分の妄想であることに意識を集めようとすればするほどに頭の中の牧は蠱惑的だった。 「なんだよ。さっきからなに見てんの? え、馬?」 仙道越しに伸び上がって窓を見ようとする三井が、目に入る景色に眉を寄せる。わかりはしないだろうと思いつつ、なんとなくそれをブロックしつつ、仙道は辛そうだったという牧の様子を聞き出そうと焦った。が、問いながらも頭の中の牧は消えてくれなくて、それどころか牧はもう服まで着ていなくて、外の散歩中の馬たちに虚ろに目は流れる。 「あれ? そういや、おまえも昨日ランニング戻ってくんのいつもより全然遅かったよな」 「いや、俺は別に。あー、その牧さんホント大丈夫って? 言ってました?」 「なんだよ、やっぱ気になんの?」 「そりゃー…。その、牧さん…え? あ? 腰!?って?」 「うん。腰ってか尻ってか。だからナニ見てんだって」 三井は箸を置いて、仙道の頭を乱暴に押しのけた。 「やっぱ馬? なに、おまえ馬好きなの?」 「え? 馬?! いやそんな! いや! スキです!!」 「? ふーん…?」 三井が探るような視線を仙道に投げてくる。いつもであればそんなものは笑顔で受け流すことができたが、いろいろと焦る情報が一度に投げ入れられて処理しきれなくて、仙道は自分の顔が赤くなっているだろうことを感知した。それを見た三井の目がいきなり何かを察したように見開き、次いで意地の悪そうな笑顔へと変わる。 「…おまえさー、いい加減にしとけよ?」 「え? …なに言って」 「仙道くんはお馬さんが好きなんだよなー?」 「そうですけどそれとこれとは…」 「コレってなんだよ」 ついに耐えきれないといった様子で三井が爆笑する後ろでドアが開いた。見れば今まさに仙道の頭の中であられもない姿だった牧が、爽やかな笑顔を浮かべてすぐに見つけた自分達へと足を向けてくる。 「よぉ、三井。仙道もいたのか」 「お? 牧ー! 待ってたぜー」 「えあ? 牧さん?! なんで?!」 思わず裏返った声が出た。「次この講義だからな」 涙まで浮かべて笑いこけていた三井が背後を振り向く。 万事休す。 さっきまで体中の熱を集めていた下腹に、氷が押し当てられたような気が仙道にはした。 「よぉ、牧。腰、平気か?」 「いや、だから大丈夫だと」 「そっかそっか! だよなー!」 三井はいつの間にか食べ終わっていた空の弁当箱をまとめてビニール袋に突っ込んで、立ち上がった。 「あんまり牧に無理させんなよ仙道。じゃな。俺ゴミ捨ててくるわ。授業始まるまであと30分だな。邪魔者は時間潰してくっからお二人でごゆっくり〜」
置き土産に残したセリフに仙道はいよいよ青褪めて、傍に立っていた牧をそっと見上げた。牧は窓の外に顔を向け、そこから見える風景に何やらを発見したようだった。その顔がゆっくりと仙道に戻される。 |
||||||||||
|
||||||||||
こちらは年齢制限がない爽やかなお話なので、爽やかなアニメ塗りを意識しました(笑)
(背景ははちお様よりお借りして加工加筆しました) 三人コラボが実現出来てとっても嬉し楽しかったですv 志毛さん七海さんありがとうございましたvv |
☆…………☆…………☆…………☆…………☆…………☆
[ back ]