牧
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「ヒーローコスプレやらされんの何回目だ?」 |
仙
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「ヒーローじゃなくてもアニメや海外ドラマのとか、色々やらされてるから忘れましたねえ」 |
牧
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「今回の俺のキャラは、もっとこう、でかくてムキムキなんだ。俺じゃ細すぎてさまにならん……」 |
仙
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「それでテンション下がってたの? 十分筋肉ついてるよ。つかそれ以上はバスケに必要ないって」 |
牧
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「身長だって……。あ! 閃いた。お前もっと後ろに下がれ。俺が大きく見えるように」 |
仙
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「え〜。やだ」 |
牧
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「なんでだよ。別に数歩下がるくらいいいだろ」 |
仙
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「それじゃ両雄並び立つことになんねーじゃん。あんたの隣に立ちたいの俺は」 |
牧
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「そんなとこにこだわんじゃねえよ。正面から撮影してるから、並んで見えるって。な?」 |
仙
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「やだったらやだ」 |
牧
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「今夜の晩飯奢ってやるから。ちょっといい焼肉屋でもいいぞ」 |
仙
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「あんたと昨日つくったカレー食うの楽しみにしてたから、いーよ。カレーはやっぱ二日目だよね〜」 |
牧
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「この強情野郎め。どうしたら譲る気になるんだ」 |
仙
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「うーん……今夜アレ使わせてくれんなら、いーすよ。あ、ただし五分間ね」 |
牧
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「あれって何のことだ? 五分間? ……あ! なに言ってんだアレ使って五分もなんて!」 |
仙
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「あっそ。じゃあ別にいいよ俺はこのままで」 |
牧
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「くっ……。……二分なら使っていい」 |
仙
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「ムリしなくていーよ? 俺より背が低いあんたが小さく写るのは当前なんだから、いーじゃんこれで」 |
牧
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「…………三分だ。それ以上はおかしくなるから勘弁してくれ」 |
仙
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「四分で手を打ちますよ。ヒーローは体はってなんぼでしょ」 |
牧
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「この野郎、足元見やがって。わかった、三分三十秒だ。おら、さっさと後ろに下がりやがれ」 |