牧
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「この辺にホテルあったよな。寄ろうぜ……今夜は俺に抱かせろよ」 |
仙
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「なに言ってんだか。どうせベッドに横になったとたんに寝ちまうくせに」 |
牧
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「まだ根に持ってんのか。寝ないって。なあ……いいだろ?」 |
仙
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「酔っ払いの戯言は相手にしないことにしてんの、俺」 |
牧
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「随分冷たいな。体の芯から温めてやりたくなる」 |
仙
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「あんたホントにこのコート着た俺が好きだよね。家でも着てやろうかまったくもう」 |
牧
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「そのスーツもコートに合ってる。これほど着こなせる男はモデルでもそういないぞ?」 |
仙
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「はいはい。この下り坂おわったらタクシーひろえる道に出るから。それまではしっかり歩いてね」 |