「めちゃくちゃきれい。こんなの初めて見た」
 牧がその指差された上空へ目をやると、仙道の言った通り、今までに見たことのない空が広がっていた。
「すごいな…」
「うん、すごい」
 他に明かりのない山奥から見る夜空は、そこに散らばる星々がこれまで見て来た以上に存在しているようだった。言葉が失われるほどに圧倒されて、牧はしばらくただ星空を眺めていた。
「牧さんもここ座らない?」
「二人は無理だろ」
 仙道一人でも心許なく軋んだ音を立てそうな天板だった。牧は畳に腰を下ろし、仙道の足に寄りかかってまた空を見上げた。
「見える?」
「ああ、いいな」
 まだ虫の音も聞こえない夜の始まったばかりの夏。昼間の暑さが嘘のように澄んだ空気は冷たかった。


─── 志毛様著『山荘盛夏翳る』より ───






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志毛さんが昨年の私の誕生日に書き下ろしてくださった仙牧小説『山荘盛夏翳る』。
裏の鍵をお持ちのお嬢さんは、情熱的な冒頭から始まる素敵なこの小説に
大層ときめかれたかと思います。梅園ももそりゃそりゃ大変ときめき大興奮でしたともv
特に上記の部分を絵にしてみたくなる〜と鼻息荒く志毛さんに感想をお伝えしましたところ。
ぜひにと二つ返事を下さったのです。プレゼントしてくれた上に快諾……志毛さん太っ腹v 好きv(告白)
そんなわけで目一杯本気で描かせていただきましたv 嬉しい〜v

『こざっぱりとした白いTシャツと部屋着を穿いて寛いでいる』仙道と、
『自分の身体を覆っていたタオルケットを肩から掛け』た牧が寄り添っている。
それだけでもうっとりしてしまうのに、圧倒されるような星空を一緒に見上げるとか……!
その静かで尊くも美しい情景を私なんぞの画力で表現しきれないと
わかってはいつつも。描いている間は夢見心地でとても楽しかったです。

結局色味四タイプのどれがいいか迷って、志毛さんにどれかひとつでも
気に入ってもらえればと送りましたら、なんと全部を志毛さんはご自分のサイトに掲載して
下さったんですよ☆ 申し訳無さすぎる……(滝汗) 次はきちんと一枚に絞って贈ろう;;
しかもですよ、小説『山荘盛夏翳る』に挿絵としても掲載して下さってたの。うわーん、嬉しいv
裏の鍵をお持ちではない18歳以上のお嬢さんは、ぜひ志毛さんのサイトで合わせてお楽しみ下さい♪
志毛さんの誕プレのはずが、私の方こそ喜ばせていただきありがとうございました!!

ちなみに絵をクリックすると、私の方では色調加工前&夜空が違うタイプ1枚見れますよん。
上記の絵の星空はこちら。クリックして出る絵の星空はこちらからお借りして加工しました。

大変余談ですが。若い頃、焼尻島の民宿に一泊したことがありましてね。
そこでの星空が手に届きそうに近く感じたことや、美しい色とりどりの星が
密集してて隙間がないぞと、大層驚いたのですよ。
その夜空を思い出しながらお借りする夜空写真を選んだのでした……///
今、天売・焼尻島では「天然プラネタリウム」と謳っているのですね。納得の美しさでした。













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