| 「波、おさまっちゃったね」 |
| 「あぁ。完全に凪いでる……。戻って夕方くらいにまた来るかな」 |
| 「……よいしょっと」 |
| 「何やってんだ? あんまり傾けたら前のめりに落ちるぞ?」 |
| 「うん。だから協力して?」 |
| 「何を……」 |
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両手をボードについた仙道が長い首を下ろしてくる。 |
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長いまつ毛が影を落とす目元と薄い唇が笑みを含んでゆっくりと近づいて、止まった。 |
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唇が触れ合うのに足りない数センチのために、牧は背をのばした。 |
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| 思いのほか冷えた感触に少したじろぐ。ずっと海に浸かっていた自分よりも余程冷たい。 |
| 自らの熱を分け与えるように牧は深く唇を合わせた。 |
| じわりと唇を擦り合わせると、はざまからうかがうように仙道の舌が潜りこんでくる。 |
| いつもの強引さとのあまりの違いに、思わず頬が緩んだ。 |