今日は牧さんが海南バスケ部のOB会に出かけてる。久しぶりにみんなで集まるらしく、牧さんは朝からテンションが高かった。俺だって陵南の仲間と再会できるってなればうれしくてハイになるんだ、だから今日は快くあの人を送り出してあげたんだ。
俺も一人で夜を過ごすのがなんとなく寂しいし、退屈だったから魚住さんのお店にぶらっと行ったらいろいろ話し込んでかなり夜も遅くなってしまった。
牧さんと俺、どっちが先かな?お互い家の鍵は持ってるから大丈夫なんだけど、できれば俺が先に帰って出迎えてあげたい。楽しかった?何食べて、飲んだ?おいしかった?俺もあんたが出かけてた間に魚住さんの店行ってたよ………数時間離れてるだけなのにしゃべりたいことがたくさんありすぎる。
家に帰ったら真っ暗なのに玄関が開いてた。一瞬戸締まりを忘れたかと思って焦ったけど、靴が牧さんにしては乱雑に脱いであったのを見て、なんだ帰ってたんだ、酔って帰って来てもう寝てるだろうな……寝顔を見られるのがうれしいような、しゃべれなくてつまんないような俺は複雑な気持ちになった。
リビングまで足を進めて電気をつけると想定外の事態が……なんと、牧さんが床にボクサーブリーフとその上にワイシャツを羽織った格好で寝てたんだ。側には脱ぎ捨てた、って表現が適切な感じの上着とインナーシャツ、それにベルトが通されたままのスラックスが丸まって落ちててどんなに酔っぱらってこの状況ができたのか?普段のきちんとしてる牧さんからは想像もつかない。とにかく、風邪をひかないように牧さんにもっと温かい格好をしてもらわないと!
「牧さん、風邪ひくよ」
「………ん…」
ゆっくり目を開けた牧さんは俺の顔を見てハッとした表情をする。気が抜けきった姿を見られて困惑した表情が可愛い!それに、酔っているせいか紅く色づいた唇が完熟の果物を連想させる。指で触れてみたくなった俺は……ムニムニ感触を楽しむことにした。
「柔らかくていつもより内側が紅くて熱い……随分といやらしい唇も好きですよ」
「……ぅ、あ……」
困ってる。ホントに可愛い。その顔をもうちょっと見たかった俺は牧さんの唇ムニムニを続けた。
ハグしてからキスしたら普段より牧さんから薫る香りはいい匂いだし、唇はとろけるように甘かった。
「あんた、締めに何飲んだの?唇、普段が桃だとしたら、今はハチミツみたいだ」
「…ハイボール」
「だけじゃない。甘いの絶対飲んでる」
「……ファジーネーブルかカシスオレンジ。オレンジ系…飲んだ」
「両方味、全然違うよ。まあ、いいっす、俺がいつもよりあまーい牧さんをこれからじっくり味わいますから♪」
ちょっと舌足らずでキスしただけなのにもうお愉しみの後みたくトロンと潤んだ瞳の牧さん。これは俺、行くしかないね!
責任とってよ、牧さん。
* END *
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