TVを消して居間で本を読んでいると仙道が雑誌を持って別の部屋からあらわれた。
「俺も読書〜。つっても雑誌なんだけど。ここ、空いてる?」
「そりゃかまわんが、ソファにお前も座ればいいだろ」
「うんにゃ。ここが落ち着く。ここ、俺の定位置だから」
「それは初耳。クッション、もう一個やろうか?」
聞くのはのは初めてだが、定位置なのは本当かもしれないと牧は内心頷いた。
牧がここで読書をすると、仙道はよくこうして床に座ってTVを見たりしているから。
「んーん、二個で平気。いいね、たまには日曜ののどかな日差しを浴びながら読書ってのも」
「そうだろ」
「うん」




日差しが夕暮れ色に変わり始めた。カーテンごしに入る光が柔らかい。
思ったよりも面白味を感じられない本にあくびを噛み殺した時に、何かが落ちる音がした。
続く、規則正しい寝息。
ぽっかりと空いた口元を見ていると、こちらまで眠くなってくる。
本当にこいつの寝顔ときたら……いくら見ていても飽きることがない。


そうはいっても何もかけてやらないで寝かせておくわけにもいかず、そっと声をかける。
「…寝るならベッドに行け。風邪ひくぞ」
僅かに眉間に皺を寄せると、目を瞑ったまま寝ぼけた声が返される。
「……寝て、…ない」
「寝てないのか?」
「うん……」

いつも思うのだが、何故こいつは寝てるのかと聞けば寝てないと、起きているのかと聞けば寝てると答えるのだろう。
天邪鬼ともちょっと違う、妙な意地が感じられておかしい。それを可愛いと思うようになってしまった自分は、かなりおかしいかもしれない。

また寝息に戻ったところで、独り言のふりをして呟いてみた。
「なんだ寝ないのか。俺は眠いから昼寝するかなー」
仙道は慌てて雑誌を放り出すと牧を見上げた。まだ少し寝ぼけた余韻が残る己の顔に気付いていないのか、少し得意気に口の両端をあげてみせた。
「なーんだ、牧さん眠いんだ。なら、俺も昼寝付き合ったげるよ」

思わず牧はぷっと吹き出した。仙道はどうかしたのかと問うように首を傾げた。
「なんでもない。じゃあ、昼寝に付き合ってもらうとしようかな」





今回は久々の更新なので、台詞をちょいと増やしてみました。
牧はきっと仙道の、こういう説明の付かない色々な部分も好きなのでしょう。

節電中なので暖房温度を低めにしているから、二人とも厚着なの。
牧の上着はベロア調の柔らかいもの。革ジャンじゃないよ。←画力ねえ!(笑)
一つの部屋にいれば室内灯も一つですむよね。
しかも一緒に寝たら電気いらず。 らぶらぶエコなこんちくしょうどもです(^-^*)

早くあたたかい春が来て、今年はちょいと長めに春が続いてくれるといいですね。
絵をクリックすると色調加工前の絵が見れますよ。







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