牧がキッチンの前を通りがかると、仙道が食卓で項垂れているのを目にしました。
じっとして動かない仙道の前に牧は腰掛けて言いました。
牧
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「……全部吐いちまえば楽になれるぞ」 |
仙
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「……実は…盗んだのは俺……って何を言わせてんすか」 |
牧
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「そんな項垂れてコーヒー豆の袋を睨んでたら言うだろ。つか、乗るなよそこで」 |
仙
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「乗せたのあんたじゃん」 |
牧
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「コーヒー豆の袋とケンカでもしてんのか?」 |
仙
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「違いますよぅ。新しいの買って開けちまってから、まだ前に買ったのが残ってるの思い出してさぁ。
最近ボケてんなーって凹んでたの。あーあ。新しいやつ飲むの楽しみだったのになー」 |