牧
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「どんどん運んで来い。全部楽勝で入るぞ」 |
仙
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「あ、引き出しの中はピンク色だ。どうせならこっちも塗装してくれれば良かったのに」 |
牧
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「まあそう多くを求めても無駄だろ、梅園なんだから。それよりほら、自動製氷機ついてるぞ」 |
仙
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「へー、それは嬉しいや。夏場はすぐ氷使いきっちゃうからさー」 |
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牧
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「ふぅ。…便利になるため仕方がないとはいえ、また入れ替えするのは面倒だなぁ」 |
仙
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「ねー。……居間にも冷蔵庫あると便利だよね?」 |
牧
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「気持ちはわかるが、小さいのが居間ならまだしも、逆は流石に無理があるだろ」 |
仙
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「そーなんだけどさー。あ、ちょっと待ってて」 |
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一人残された牧は冷蔵庫から麦茶を取り出しました。
牧
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(……確かに居間に冷蔵庫があると便利だ。けど、これじゃあまりに格好悪いしなぁ。
それに飯作るときに材料いちいち取りにくる方がありえん…) |
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仙
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「はいお待たせ〜。牧さん麦茶のおかわりはやめといた方がいっすよ…っと」 |
牧
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「!! おい、お前、それって!」 |
仙
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「そうでーす。牧さんがカキ氷よりも好きな、ハーゲンダッツでーす。食べるよね?」 |
牧
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「そんないいもの、いつ買ってたんだよ。食うにきまってるだろ!」 |
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牧
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「四個パックはいいよな、色々な味を一度に楽しめてさ♪」 |
仙 |
「あ、ちょっと食べるの待った。そういえば、梅園がお中元のお返しに欲しいものがあるって書いてあったんだ」 |
牧
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「リクエストがあったのか。流石に冷蔵庫もらっちまったら、けっこう高額なもの返さないととは思っていたが」 |
仙
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「それがさ、『夏らしい、男らしく格好良い牧さんのお写真を一枚下さい。』だってさ」 |
牧 |
「は? 俺の写真一枚? そんなもんでいいなら、海パン履くか。お前撮ってくれよ」 |
仙 |
「そこまでしてやることないって。半袖のその格好で十分だよ。あんたにとってはたかが写真一枚だろうけど、
あいつにとっては冷蔵庫一台と同価値なんでしょ。忘れないうちにもう撮っちまいましょうか」 |
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牧
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「夏らしく男らしい…この日焼けした腕なんてどうだ? 片腕立て伏せの回数も増やして筋肉も更についたし」 |
仙 |
「うん、いいんじゃないかな」 ←棒読み |
牧
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「どうせだから冷蔵庫と一緒に撮ってくれ。どうだ? 男らしいか?」 |
仙
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「うんうん。じゃ、いきますよー。はい、ポーズ」 ←更に棒読み&やる気なし(笑) |
牧 |
「……よし。もうアイス食っていいか?」 |
仙 |
「いっすよ。ちょうど食べ頃だと思うよ〜」 |
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牧
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「それにしても、なんで突然ハーゲンダッツ。しかもBOX」 |
仙
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「夏休み前、俺がTwitterで見た話を聞かせたら、あんた、それは誰だって喜ぶだろうよって言ってたから」 |
牧
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「……どんな話だったか忘れた」 |
仙
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「『ハーゲンダッツがあればどんなにキレてても一瞬で鎮まると言ったら、次の日、冷凍庫に8個も入ってた。
「こんなに必要な程怒らせる気か」と聞くと「そんなに好きなら、普通の時に食べたら君はすごく幸せになると思って」
で、言われた奴が「そんなに喜ばせてどうするんだよ…」』ってやつ」 |
牧
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「あー、そういや聞いたな。お前、まさか俺が喜ぶからやろうとしたのか?」 |
仙
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「当然でしょ。本当は8個買いたかったけど、冷蔵庫に入らないかったから。けど今度の冷蔵庫は楽勝だから、楽しみにしてて?」 |
牧
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「お、おう……////」 |
仙
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「牧さん随分汗かいちまったみたいだから、これ食ったらシャワー浴びたらいいよ。腹はまだ減らんでしょ?」 |
牧
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「そうだな。入ってくるよ」 |
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仙道のすすめに従って牧はシャワーを浴びにいきました。
それを見届けた仙道は素早く洗濯機をまわすと、また居間へ戻ってきました。
数分後、脱衣室から牧の声が聞こえてきました。
牧
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「おーい。俺の服も下着もないぞー?」 |
仙
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「あー、洗濯ついでに突っ込んじゃった。替わりのパンツ置いといたから、とりあえずそれ履いて〜」 |
牧
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「……まさかこの小さい、酷い柄のか? もっとマシなの置いておけよ」 |
仙
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「ごめんごめん。汗引くまでと思ったからさぁ」 |
ブツブツと文句を言いながら牧が居間に戻ってきました。
狙い通りの格好の牧に気付かれないよう、仙道は急いでシャッターをきります。
牧
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「ついいつもの習慣で台所の冷蔵庫に直行しちまったよ」 |
仙
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「だよねー。あれ? 牧さん、バスタオルは?」 |
牧
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「洗濯機に突っ込んできた。お前さぁ、何度も言ってるだろ。脱いだ服を洗濯してくれんのは
ありがたいが、替えにもっとマシなの用意してくれって。このパンツは今までで最悪だ」 |
仙
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「ごめーん。それ、何かのオマケの使い捨て用なんだ。汗引いたら取り換えて、捨ててもいーから」 |
牧
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「おー。こんな小せぇの、伸びはいいが少しかがんだら後ろも前もアウトだ。役に立たんぞ」 |
仙 |
「確かにこんにちはしちゃうよねぇ。まあ、夏だし涼しいってことで。ね 」
(夏らしく男らしい牧さん、つーたらやっぱこれだよね〜 ま、もちろん誰にも見せてやんねーけど♪) |
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新しい冷蔵庫が二人の食生活を更により良いものにしてくれるといいですね。
この後、牧は早く着替えないと仙道が強制的に手伝ってくれちゃいそうです(*>q<*)。
* end *
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