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甘いキスをたっぷりした仙道は、ご機嫌で食器を片付けに席を立ちました。
仙
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「バニラとチョコバニラでダブルバニラチョコ〜♪」 |
牧 |
「……わけわかんねぇ」 |
仙 |
「次ん時もアイス用意してあげるね。何味がいい?」 |
牧 |
「……マーブルチョコで頼む」 |
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FAXが来たので牧が受信内容をチェックしました。
牧 |
「……おーい、仙道。これから出かけるぞ二人で。豪華なパンケーキの礼に晩飯奢ってやる」 |
仙 |
「奢りは嬉しいけど急にどうしたの? どこ行くんすか〜?」 |
牧 |
「どこでもいい。梅園がまた部屋を何かするらしい、夜まで家を空けてろと指令が出た」 |
仙
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「なんだよも〜。久々に一緒の日曜だってのに、たまには家でイチャコラさせろっての」 |
牧 |
「イチャコラならさっきやっただろ」 |
仙 |
「えー、あんなちょっとくらい。…ま、いいや。デートに行きますか。何奢ってもらっちゃおっかなー♪」 |
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日も暮れて夕飯も外食ですませた二人が帰宅しましたら……。
仙 |
「……こりゃあ、設置に時間かかるよ///」 |
牧 |
「全くだ……それにしても何でダブルベッドになんかするんだ/////」 |
仙 |
「これってキングサイズ? 凄い迫力…/// ベッドしかないから…なんつーかこの部屋……ラブホ」 |
牧 |
「言うな/////;」 |
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牧
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「なんだよ、よく見りゃ二台のベッドをくっつけているだけじゃねーか。動かそうぜ」 |
仙 |
「俺は別にこのままでも……」 |
牧
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「何か言ったか? おら、しっかりそっち持って引っ張れよ」 |
仙 |
「はぁーい」 |
仙
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「いっせーのーで! うわあ!?」 |
牧
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「!? なんだこの軽さは!? 一人で楽々動かせるぞ」 |
仙 |
「牧さーん、このベッド本体、ベッドヘッドとくっついてないよ〜」 |
牧
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「引っ越ししやすいように接続しない設計なのか? 今どきはそれが主流なのか?」 |
仙 |
「さぁ…違うと思うけど? こんな軽いなんて、まさか寝たらベッド割れなねぇよな」 |
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牧
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「お。座ってみると耐久性は問題ないのがわかるな。かなりしっかりしている」 |
仙 |
「揃いのベッドってなんか高級感があっていいね。素材はなんだかわからないけど」 |
牧
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「そうだな。これでサイドテーブルみたいなのがあったら、ビジネスホテルのツインみたいだ」 |
仙 |
「牧さん梅園に頼んでみたらいいよ。きっとすぐ作ってくるよ」 |
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仙 |
「足が出ない! 俺も牧さんも自分のベッドの足元はダン箱で継ぎ足ししてたから嬉しいね」 |
牧
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「横幅も今までより広いな。シングルよりひとまわり大きいか? ゆったりしてる」 |
仙 |
「あ〜……確か、セミダブルロングとかいうサイズかも」 |
牧 |
「梅園にしちゃ気を利かせてくれたな。今回のプレゼントはかなり気に入ったよ」 |
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二人は掛け布団をもう一つ探し出して、それぞれかけてみました。
仙 |
「掛け布団ふっかふかだ〜。けどこれからの季節には暑そう」 |
牧
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「だな。…………」 |
仙 |
「どうかした?」 |
牧 |
「いや……これからはお前と同じ部屋で毎日寝るのか……」 |
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牧は急に余計な事を言ったという顔をしてそっぽを向いてしまいました。
仙 |
「……そうですよ〜。毎晩俺が隣で寝てるんですよ〜。もしかして、恥ずかしがってる?」 |
牧 |
「恥ずかしがってない。入ってくんな」 |
仙 |
「あれ〜? なんか顔赤くない? 急に熱でも出てきちゃった?」 |
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牧 |
「煩ぇ、しつこいぞ。……枕まで持ってくんな」 |
仙 |
「いいじゃん、二人で横になったらどんな感じか知っておかないと」 |
牧 |
「そんなにくっつかなくても十分広いだろ……おい、どこ触ってんだ」 |
仙 |
「だってそんな頬を赤らめられちゃあ……俺まで変な気分になって当然でしょ」 |
牧 |
「冬布団だから暑くて顔が、あ、おい! んっ……こら、やめろ!」 |
仙 |
「うっ!? ……あんたこそそんな……うう……やめ、」 |
牧 |
「やめて欲しいならお前から先に手を離せよ」 |
仙 |
「…やめ…………ないで」 |
牧 |
「!?」Σ(@_@;) |
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牧 |
「…仙道、俺が悪かった。こういうことは…ええと、シャワーを浴びてから。まだ夜も浅いし。な?」 |
仙 |
「あはは、本気でさかってたわけじゃないよ。あー暑かった。冬布団で二人は暑過ぎるね」 |
牧 |
「あー…まんまと騙された。けどまぁ、あれで気持ちいいとか本気で言われるよりはマシか」 |
仙 |
「あんな強く握られたら痛いだけだよ全くもう。もっと大事に扱って下さいよ」 |
牧 |
「…………夜が深くなってからなら、大事に扱ってもいい」 |
仙 |
「マジ!?」Σ(///) |
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なんだか急に恥ずかしくなってきた仙道は自分のベッドへ戻りました。
仙 |
「今まで寝室なんてなかったから思わなかったけど、こうなるとパジャマも揃えたくなるね」 |
牧 |
「そうだな。あと夏掛けも。せっかく新しいベッドとシーツに枕なんだから、布団も新しくしたい」 |
仙 |
「うん。あとさ〜今度でいいから、牧さんとベッドで3DSやPSPやりたいな」 |
牧 |
「いいよ。そうだ、ここに電話の子機を置いて置くと便利かもしれん。あと目覚まし時計も」 |
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たわいない会話を楽しんでいると、仙道がふいにとても嬉しそうに微笑みました。
牧 |
「どうした?」 |
仙 |
「なんかいいなと思って。俺達は男同士だから“夫婦”じゃねーけど……」 |
牧 |
「ああ。なんとなく、言いたいことは分かるよ。……そうだな、なんか、いいな」 |
仙 |
「うん。これからは寝るのがもっと好きになる気がする」 |
牧 |
「これ以上寝汚くなられちゃ困るが……まぁ、これからは俺が蹴って起こしてやるか」 |
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たかがベッド。されど、ベッド。そんな二人でございます。
家具は暮らしや気持ちや関係など様々な変化をもたらしもしますよね(*^v^*)
* end *
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