J
|
「Very very beautiful…! 食べるのがもったいない! しかし食べないともっともったいない!」 |
牧 |
「はいはい。 …仙道、すまんな。我がままなオヤジが迷惑ばかりかけて」 |
仙 |
「俺は全然。マグロも好きだし。あ、牧さんも中トロ食う?」 |
牧 |
「うん。お前赤貝好きだろ、俺のやるよ」 |
|
J
|
「アカガイとは何かな?」 |
牧 |
「あんたが今、手にしているやつだよ。それは飾り包丁が入っているけど、これと同じ貝だ」 |
J
|
「かざり包丁! この見事な切り方によって鳥になっているわけか。工芸品のようだ」 |
牧 |
「その鳥は多分、鳳凰を模しているんじゃないかな。鳳凰は不死鳥といわれて縁起がいいから」 |
J
|
「フシチョーで演技がいい……なるほどね」 |
牧 |
「わかってない気がするけど、まぁ握ったままでいないで食べたらいい」 |
|
|
仙 |
「ふ〜。ご馳走様。腹いっぱいだから、俺は今日はケーキ食えないかも」 |
牧 |
「俺は食う。Jokerも食うだろ? …Joker?」 |
J
|
「紳一が食べたバラの花を彰は食べないのかね?」 |
仙 |
「え? あぁ、はい」 |
J
|
「では私が!」 |
牧 |
「ちょ、やめ、あっ、一口で食った !? バカ、それは薔薇を模したガリ、生姜だぞ!」 |
仙 |
「Jokerさんここに出して! 大丈夫すか、顔色ヤバイっすよ!」 |
…………☆(>_<;)
|
10分後。牧は皿を洗いながらコーヒーを淹れています。
仙
|
「短い番組なんで、けっこう空きありますから。名前は後で調べて連絡します」 |
J
|
「色々とありがとう。優しくて気がきく彰と暮らせて、紳一が助けられているのがよくわかるよ」 |
仙 |
「や、牧さんの方がずっと気がきくし優しくて、俺は助けてもらいっぱなしなんすよ」 |
J
|
「……」 |
仙 |
「…?」 |
J
|
「録画や寿司の礼に、少し昔話をしようか」 |
|
|
|
|
J
|
「紳一の家は…今でこそ表面上は夫婦仲が良くなっているが、紳一が幼い頃は酷いものだった。
夫婦げんかだけですめばまだマシだったのに、父親は他の女へ逃げることが増えてね。母親の方は
行き場のない辛さから子供に過剰な期待や自分の甘えなど、全てをぶつけていたんだ。
それに気付いた私が自宅に一年半ほど紳一を預かった…。やっぱり聞いてなかったかいこの話は?」 |
仙 |
「…はい、全く。ただ、あまり実家へは帰りたがらないとは思っていましたけど」 |
J
|
「そうか。それなら本人から詳細を聞ける日がいつか来るだろうから、これ以上は私が語るのはよそう。
そういった経緯で紳一を何度か、私が離婚するまで預かって一緒に生活をしてきたんだ。だから子供の
いない私に紳一は我が子のようなもので、様子を見れば今が幸せかそうでないかくらいはすぐ分かるんだよ」 |
仙 |
「今の彼は幸せそうにJokerさんにも見えています…よね?」 |
J
|
「悔しいことに、これまで感じたことがないほどにね。今、子離れされた気持ちになっているよ。
彰……ありがとう。これからも紳一を愛してやってくれ」 |
仙 |
「俺の望みは彼と一緒に過ごし、幸せを分かち合うことです。だからJokerさんが礼を言う必要はありません」 |
|
|
仙 |
「仮に誰かに別れろと頼まれたところで、絶対無理です。俺が彼から離れられませんから」 |
J
|
「そう。…いいね。うん……素晴らしくいい、charmingだ」 |
仙 |
「charming? ……あー、TVか。この女性キャスターさんも続けて録画しますか?」 |
J
|
「ぜひ頼むよ。私はbisexualなんだ。右の彼が出ている番組をお願いしたい。彼の名前もね」 |
仙 |
「守備範囲広いんですね……了解っす」 |
|
牧がデザートの準備を始めました。
牧 |
「Jokerはモンブランだったよな?」 |
J
|
「あぁ。だがやっぱりケーキは食べれそうにない、腹がいっぱいだ。コーヒーもその小さいカップに半分でいい」 |
牧 |
「じゃあ後で食べたくなったら言ってくれ」 |
J
|
「いや、飲んだら帰る。ここでの目的はすんだ。雨もやんだようだし、滞在日数が少ないから行くよ」 |
牧 |
「そうか…今度はゆっくり来たらいい。それにしても、ここで何の目的を果たしたんだ?」 |
J
|
「紳一と同居の彰君の顔を見ること。それと服をもらうことが今回の目的」 |
牧 |
「なんだよそれ。まぁ、俺も仙道を紹介できて良かったけどさ。あんたも相変わらずなのを確認したしな」 |
|
|
Jokerは録画したDVDの送付先をつげて帰っていきました。
牧 |
「お? 食うのか。珍しいな食後なのに」 |
仙 |
「うん。Jokerさんの好きなモンブラン、ちょっと食いたくなったんで」 |
牧 |
「変人だったろ。すまなかったな色々迷惑かけたみたいで」 |
仙 |
「録画くらい全然。面白そうな人だからもっとゆっくり話してみたいと思ったよ」 |
牧 |
「変人同士で波長が合うのかな? まぁ、仲良くしてくれるのは助かるけど」 |
仙 |
「それって何気に俺に対しても失礼だ」(笑) |
|
|
牧 |
「なんか妙に疲れたからもう一個食うかな〜。…ん?」 |
仙 |
「唇にチョコクリームついてる」 |
牧 |
「あ、…サンキュ」 |
仙 |
「……柔らかい」 |
牧 |
「仙道……」 |
|
|
|
仙 |
「指、なめて綺麗にして? 口に含んで、さ」 |
牧 |
「恥ずかしいことさせようとするな。俺はまだケーキ食ってんだよ」 |
仙 |
「恥ずかしがる顔が見たいから頼んでるんだよ」 |
牧 |
「……指でいいのか?」 |
仙 |
「え」 |
牧 |
「食い終わってから、ベッドで違うとこをしてもらう方が嬉しいんじゃないのか」 |
仙 |
「!!! 大人しく食べ終わるの待ってます!」 |
牧 |
「なに敬礼してんだ、バーカ。冗談を間にうけんな」 |
仙 |
「ひっでー、マジ期待しちゃったじゃん! いいよーだ、俺がベッドで舐めまくってやる」 |
|
|
|
|
仙 |
「明るいとこであんたが頬そめながら舐めるとこを見るチャンス逃しちゃったな〜」 |
牧 |
「甘いんだよ、この騙され坊主」 |
仙 |
「チェ。牧さんの方がJokerさんよか嘘つきじゃん」 |
牧 |
「俺のは嘘じゃなくて冗談だ。Jokerのは本当の嘘。お前、まんまと騙されてたぞ。
俺の両親は一度も深刻な不仲になったこともなければ、虐待なんてしたこともない。
Jokerの所へは夏と冬の休みにリゾートとして宿泊には行ってたが、暮らしていたわけじゃない。
Jokerの奥さんは リゾートホテルの娘だったんだ。Jokerはホテルの仕事もせず遊びまわって、
あげく他所に女や男作って奥さんに捨てられたんだよ。まだ奥さんに未練たらたらで、こうして
たまに日本に戻ってきては本命である元奥さんの怒りが収まったかを確認しにきてるんだ」 |
仙 |
「やっぱなぁ…なんかおかしいとは思ったんだよね。年齢が話的にどうも合わないんだもん
けど、牧さんを本気で心配してるのは嘘とは思えなかったんだよ」 |
牧 |
「確かに俺のことを心配してるのは本当だと思うよ。…俺が男とうまく暮らせているか気にして
様子を見によったのだろうから」 |
仙 |
「いい人だね。また遊びに来たらいいのにな。今度はもっとゆっくりとさ」 |
牧 |
「…そうだな、黙っていたら厳しくストイックな顔してるのに、喋ればスケベでちゃらんぽらんだけどな」 |
仙 |
「牧さんも普段はストイックな顔だけど、ベッドの上ではそりゃもうエロ可愛いくて」 |
牧 |
「それ以上ふざけたことを言ったらその腐った目に直接ケーキ食わせてやる」 |
|
Jokerの年齢っていくつくらいなのかなぁ、確実に牧より年上のお顔だけど。45〜50才くらい?
仙道が騙されて真摯に返事をしているのを、牧はキッチンでどんな顔して聞いていたのかな。
きっと今夜もラブラブでえーろえろな夜でしょう(*^v^*)
* end *
|
|
|
|