FAXがきていたことに牧が気付きました。
牧 |
「……どうやらこれはお前が梅園に頼んだことのようだぞ」 |
仙 |
「え〜?? 俺、ここ最近ずっと梅園になんて連絡とってないよ?」 |
牧 |
「しかし書いてある。これは昨夜に届いてたようだ。今日の午前中部屋の模様替え作業を行うので、二人で午前中は外出していて下さいって書いてある。…俺達はこれに気付かず偶然外出する用事があって留守にした。その時に行われていたんだな」 |
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牧 |
「お前、こないだ、『夏は畳でゴロゴロしたいよな〜』とかTVみながら言ってなかったか?」 |
仙 |
「い、言ったけど、そんなんでまさか……」 |
牧 |
「考えたくないが、もしそれが原因で依頼をうけたととられたとしたら……。盗聴されてると思った方がいいかもしれん」 |
仙 |
「……あっ!! 違う。俺、先月梅園に会ってた、このTシャツの件で。そん時、確かに俺言ったかも。牧さんも畳は好きなんだよ、夏は俺も牧さんと畳でゴロゴロしてたいなーって。
多分それだ。俺がねだったってあいつは気にもとめないもん。牧さんが喜ぶと思って、勝手に俺の依頼にしたんだよ!」 |
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牧 |
「……なるほどな」 |
仙 |
「一応、盗聴されてるわけじゃないということが判明しましたね」 |
牧 |
「うん。しかしなぁ、だからといってこうもポンポンと物をもらっても……」 |
仙 |
「いいじゃないっすか。牧さんからお礼のFAXをもらえりゃ十分報われてると思いますよ」 |
牧 |
「そんなもんではいくらなんでも。
……今年はお中元でも贈るかな」 |
仙 |
「あー。喜びますね確実に」 |
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仙 |
「こういう時は飯でもくって落ち着きましょうや」 |
牧 |
「そうだな。たまに店屋物でもとるか。何食いたい?」 |
仙 |
「和食がいいな。はい、電話」 |
牧 |
「サンキュ。 ……そういえば、前もあったなこんなことが」 |
仙 |
「あったね〜。あん時はラーメン食ったんだった」(苦笑) |
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暫くして店屋物が届きました。
仙 |
「牧さんは三色丼っすか。夏らしくていっすね」 |
牧 |
「おう。あ、マグロ一枚やろうか」 |
仙 |
「わーい♪ 俺のは海老あげよっか?」 |
牧 |
「海老はメインだろ、もらえないよ」 |
仙 |
「んじゃ、イカとナス、どっちがいい?」 |
お茶はフォトショップで着色。
レジンとか持ってないので作れません☆
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牧 |
「イカの方が好きだけど……いいのかよ」 |
仙 |
「いーのいーの。トロロの上に置いていい?」 |
牧 |
「うん。おお、何か一気に豪華になった」 |
仙 |
「さ、食いましょうか。 ね。この卓袱台、前のコーヒーテーブルの脚を切ったやつだよね?」 |
牧 |
「そうだと思う。大胆なことするよな全く」 |
仙 |
「ホントホント。まぁこれはもともと俺らが買ったんじゃないからいいけどさ。夏が終わったらどうするんでしょうね」 |
牧 |
「さあなぁ……」 |
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食事も終えてまったりお茶タイムです。
牧 |
「畳の良さといえば、ゴロ寝だよな」 |
仙 |
「もちろん。あ、横になりますか?」 |
牧 |
「ちょっとだけ、なりたい。いいか?」 |
仙 |
「何遠慮してんすか。じゃ、卓袱台横によけちゃいましょうか」 |
牧 |
「うん」 |
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牧 |
「あ〜やっぱり畳はいいなぁ。日本人の宝だ」 |
仙 |
「あはは。でも足が出ちゃうね。足、痛くない?」 |
牧 |
「別に平気だ。お前も横になったらどうだ?」 |
仙 |
「いや〜、俺と牧さんが並ぶと狭いよ」 |
牧 |
「……卓袱台をよけたらいけるんじゃないかな」 |
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牧は起き上がると卓袱台を部屋の隅へ移動させて、向きを変えて横になりました。
牧 |
「ほら、こうすれば二人並んでころがれる」 |
仙 |
「ホントっすねぇ。あー……こりゃいいや」 |
牧 |
「もう二枚くらい畳があれば広々だろうが、部屋のスペースからいったらこれが限度なんだろうな」 |
仙 |
「そうだね〜。もっと畳敷いたら食卓テーブルの置き場もなくなっちまうもんね。たまになら卓袱台でもいいけど、足が痺れるから飯はテーブルで食うほうが楽なんだ……」 |
牧 |
「実は俺も。正座苦手でさ」(笑) |
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笑っている牧に仙道が近寄ってきました。
牧 |
「……どうした?」 |
仙 |
「ソファってさ、二人一緒に転がれないのが難点だよね」 |
牧 |
「そうだな。まぁ、ソファにはソファの良さがあるが」 |
仙 |
「……せっかくだから畳の良さを満喫したいなーなんて」 |
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仙道は牧の腰に腕をまわしてきました。
仙 |
「ねぇ、団地妻ごっこしない? 俺、米屋役やりたいんすけど 」 |
牧 |
「それなら俺は情事を邪魔する夫の役がいい。間男をボコボコにして、畳の上でプロレス技かけたい」 |
仙 |
「つまんないよそんなの〜。牧さんはエプロンして奥さん役してくんなきゃヤダ〜」 |
牧 |
「本気で言ってるなら、畳ごとひっくり返してやるけど?」 |
仙 |
「冗談ですよ、冗談。 ……でもこんな時間から昼寝はないでしょ?」 |
牧 |
「……色のわりに畳の香りがきつい。気になってまだここでは寝る気にはなれないな」 |
仙 |
「だよね。……じゃ、香りが気にならなくなること、しましょう」 |
* end *
新しい畳はしばらく青いイグサくささがありますよね。私はちょっと苦手…。
イグサの香りを忘れるほど畳の上で何をするかは、ご想像におまかせしますv
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